August 19, 2016 / 10:41 PM / 3 years ago

訂正:コラム:エリザベス英女王に「生前退位」はあるか

[12日 ロイター] - 英国のエリザベス2世女王陛下は、退位されるべきなのだろうか。日本の今上天皇である明仁天皇は、生前退位を望む意向を示唆された。

 8月12日、英国のエリザベス2世女王陛下は、退位されるべきなのだろうか。日本の今上天皇である明仁天皇は、生前退位を望む意向を示唆された。ロンドンで行われた90歳の祝賀行事で6月撮影(2016年 ロイター/Peter Nicholls)

82歳になる天皇陛下は、象徴としてのお務めについてのお気持ちを表明し、「次第に進む身体の衰えを考慮すると、全身全霊で象徴の務めを果たすことが難しくなるのではないかと案じている」と話された。公式行事において、いくつかの些細な言い間違いを重ねられている。

女王陛下は90歳である。鋭い関心を注ぐ王室記者たちがこれまで記録してきた限りでは、公務日程は減らされているものの、これまで同様、一分の隙も見せていない。

とはいえ、何と言っても90歳だ。

王位継承者であるチャールズ皇太子殿下は70歳に近づいている。その長男であるウィリアム殿下は34歳だ。「若者」というより「中年初期」と呼ばれることの多い年代である。

女王陛下は、もう退位されるべきなのだろうか。

天皇陛下よりも(訂正)、もっと近い先例がある。

スペインのフアン・カルロス1世だ。独裁者フランシスコ・フランコ将軍の死後、1975年に即位した彼は、スペインが独裁制から民主制へと移行するなかで大きな役割を果たした。2014年、フアン・カルロス1世は息子(現フェリペ6世)に譲位した。オランダでも3人の女王が、70代になって王位継承者に譲位している。

エリザベス女王陛下の夫君であるフィリップ殿下の問題もある。女王陛下に忠実に連れ添ってきたフィリップ殿下は95歳で、健康上の不安を抱えている。長く続く王室伝記作家の系譜のなかで最も若手であるスティーブン・ベイツ氏は、フィリップ殿下の逝去が女王陛下の退位のキッカケとなる可能性を示唆している。

とはいえ、女王陛下は、高祖母にあたるヴィクトリア女王が、1861年に夫君のアルバート殿下を失った後も40年間女王として君臨したことを意識されるだろう。

いかがわしいサイトでは、女王陛下がウィリアム王子へ譲位するとの秘密の取り決めがあるのではと噂されてきた。あるいは、英国が欧州連合を離脱しない場合、第3次世界大戦の恐れがあると「軍上層部」に警告を受けていたため、女王陛下は国を離れざるを得なかっただろうと書いていたサイトもある(訂正)。

だが、もっとまともな(少なくとも内情に通じているとされる)情報源は、女王陛下は決して退位されないと述べている。

BBCは女王陛下に関するコメントには臆病と言えるほど慎重だが(2007年には、女王陛下について極めて控えめにちゃかしたことを理由に、BBC1のディレクター、ピーター・フィンチャム氏を解雇している)、女王陛下がご存命のあいだは退位しないだろうと大胆に報じている(訂正)。

このことは、女王陛下が21歳の誕生日に英連邦に送ったメッセージに、「一生のあいだ、それが長かろうが短かろうが、皆さんのためにこの身を捧げることを宣言する」という一節が含まれていることを思い起こさせる(訂正)。

これは立派な宣誓だ。そして当時は、単なる王女であって、女王ではなかったのである。

たとえこの約束を無視するとしても(女王陛下自身はそうしないだろうが)、このところ今ひとつ団結が緩んでいる英国において、女王陛下が在位を続けることを強く願っているという点では、富裕層も一般の市民たちも一致している。

女王陛下は長年にわたって儀式や落成式、叙勲、議会の開会などの公務を務めるなかで、国民から多大な敬愛を集めてきた。英国がこれまで維持してきた一連の儀典は、すべて偉大さと持続性の感覚を伝えるものだったのである。

恐らく、急進派左翼であるコービン労働党党首の支持率が低い最大の理由は、彼が当初、英国国歌「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」を歌うことを拒否したせいだろう。

支配階級にとっては、女王陛下は今やかけがえのない存在だ。

欧州連合離脱という国民投票の結果と、独立を問う2回目の住民投票(2015年9月の投票結果は55%対45%で英国残留)を求めるスコットランド国民党(事実上スコットランドの独裁政党)からのひっきりなしの脅迫によって、英国政治は神経過敏で熱に浮かされた状態に置かれている。

首相の辞任、革命家と呼んでもいいほどの野党党首、危機に瀕した英連邦(訂正)、多くのエコノミストが予想する景気後退といった状況のなかで、バッキンガム宮殿で暮らす高齢の小柄なレディーだけは、少なくとも公には揺らぐことのない偉大な制度として残っているのである。

英国の王冠をチャールズ皇太子に譲るとすれば、人気の点で女王陛下よりはるかに低く、分かりにくい発言を続け、前妻の故ダイアナ妃が死亡した交通事故をめぐっても、危機を愛する英国メディアに非難され、さげすまれてきた人物が王冠を戴くことになる(訂正)。

またチャールズ皇太子には、一部の政策について閣僚たちに辛辣な手紙を書き、別のプランを採用するよう迫る習慣がある。殿下に対する嫌悪の多くはアンフェアである。しかし、大衆的な人気という点で、フェアであるかどうかが問われたことなどあるだろうか。

女王陛下が孫のウィリアム王子を王に指名するならば、相当に内気と見られている人物に大きな課題を与えることになる。ウィリアム王子は、弟のヘンリー王子(訂正)と違って、大衆受けのする活発さをまるで備えていない。今やケンブリッジ公爵夫人となった彼の妻、キャサリン妃は、落ち着きはあるが退屈である。

それでも、ウィリアム王子とキャサリン妃には、チャールズ皇太子にはない国民的支持を得られる可能性がある。派手な戴冠式を行えば、上述のような懸念もしばらくは解消されよう。

だが、王室のスキャンダルを切望して止まない英タブロイド紙は、少し不機嫌そうな顔をしただけでも結婚生活の危機だとこじつけ、宮殿から何か噂が流れるたびに「まもなく離婚か」と煽る。ウィリアム王子は父チャールズ皇太子よりもメディアに厳しいが、あまり効果はなさそうだ(訂正)。

大英帝国の終焉、激動の1960年代、欧州を覆う政治的危機、北アイルランド紛争、フォークランド諸島をめぐるアルゼンチンとの短期間の紛争といった63年にわたる治世のなかで、女王陛下は、じっと動かない静止点だった。

ダイアナ妃の死は、当時でこそ王制の危機のように騒がれたが、振り返ってみれば、基本的には忠誠心篤い国民が、女王陛下自らが(心からのものかどうかはともかく)悲しみを表明するよう願う結果となった。あらゆる人があの事件に個人的な喪失感を抱いたためである。

人生がこれほど長いものになるとは、またこれほどの長期にわたって王冠を戴くことを求められるとは、21歳のエリザベス2世には知りようもなかっただろう。

だが、約束は約束だ。女王陛下にとって、天皇陛下が望まれるような生前退位は許されそうにない。

*本文中の翻訳の誤りを訂正します(訂正箇所は本文中に明記)。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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