February 5, 2018 / 7:40 AM / 18 days ago

「低ボラ相場」の逆回転、リスク・パリティなど資金巻き戻し

[東京 5日 ロイター] - 米金利上昇による株価下落に目を奪われがちだが、2日の米市場で最も動いたのはボラティリティー(変動率)だ。米ダウ.DJIの2%下落に対し、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数.VIXは28%の上昇。ボラの変動をベースとしたリスク・パリティ戦略を採るファンドなどが、短期資金を巻き戻したとみられている。

<ダウの下落率は530位程度>

米ダウの2日の下落幅は665.75ドルと歴代6位だったが、下落率でみれば2.54%。歴代530位程度(1900年からのデータ)と大したことはない。ダウの2%下落は昨年みられず、久々だったとはいえ、株価水準自体が上がっているため、値幅が大きくなりやすい面がある。

米長期金利も10年国債US10YT=RRが2.854%と0.081%ポイント上昇し、4年ぶりの水準を付けたが、変化率としては2.92%(0.081%ポイント)と大きくはなかった。上昇スピードは速いものの、水準としては2013年末に付けた3%には届いていない。

大きく上昇したのはボラティリティーだ。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は、2日の市場で前日比28.51%上昇の17.31。16年11月の米大統領選時以来となる水準に達した。

VIX指数は水準が低いだけに変化率も大きくなりがちだ。しかし、昨年10月24日に8.56と過去最低を記録。「ゴルディロックス(適温)相場」をもたらしていた低ボラティリティー環境は、大きく変わりつつある。VIX現物価格が先物3カ月物を上回る「逆ザヤ」も継続中で、目先の下値不安を示している。

米金利市場でもボラティリティーが上昇基調を続けている。CBOEの米10年国債ボラティリティー指数.TYVIXは2日の市場ではわずかに低下したが、昨年末からみれば27.2%上昇。ボラの上昇が、昨年後半からの米長期金利の上昇につながった可能性がある。

<リスク・パリティ・ファンド>

ボラティリティーの上昇は、どのようなルートで株安・債券安(金利上昇)をもたらすのか。1つのカタリスト(触媒)となるのが、リスク・パリティ戦略を採るファンドだ。

近年最も成功したファンドとされるリスク・パリティ・ファンドは、システム(アルゴリズム)系のプレーヤーで、各アセットのボラティリティーを均等化(パリティ)する戦略をとる。高リスク資産は相対的に低いウエート、低リスク資産は高いウエートに調整。相場急変時の損失を最小化する。

 2月5日、米金利上昇による株価下落に目を奪われがちだが、2日の米市場で最も動いたのはボラティリティー(変動率)だ。米ダウの2%下落に対し、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は28%の上昇。ボラの変動をベースとしたリスク・パリティ戦略を採るファンドなどが、短期資金を巻き戻したとみられている。写真は都内で2011年8月撮影(2018年 ロイター/Yuriko Nakao)

伝統的なポートフォリオでは本来逆相関の株式と債券に資産を分散し、一方が下落すれば、他方が上昇することで損失を抑えようとする。しかし、2008年の金融危機では、株式と債券などほぼ全金融資産が同時に売られる事態となり、リスク・パリティ・ファンドに脚光が集まった。

ボラティリティーの上下で調整するのは各資産のバランスだけでなく、ポートフォリオ全体の規模も増減される。昨年、金融市場全体のボラティリティー(リスク)が低下。リスク・パリティ・ファンドは、レバレッジをかけて株式や債券の各資産を増やす動きに出たとみられている。

しかし、2018年に入り、株式や債券のボラティリティーが上昇。「リバランスの時期にも重なったが、ボラの上昇に合わせて、レバレッジの解消に動いているようだ。ゴルディロックス相場の逆回転が起きている」と野村証券のクオンツ・ストラテジスト、高田将成氏は指摘する。

    <日本勢の米債買いは期待薄>

    ボラティリティーの上昇が止まるためには、米長期金利の落ち着きが欠かせないだろう。政治的な緊張もあり、中国勢の米国債買いに期待が高まらない中、市場では日本勢に期待する声も出ているようだが、しばらくは動きにくい状況が続く可能性がある。

    米10年国債利回り(長期金利)は2.8%台半ばまで上昇してきたとはいえ、ドル調達コストも依然高い。3カ月物で約2.4%台であり、「仕上がり」は0.4%程度と、生保など長期投資家にとっては魅力はまだ乏しい。

    評価損につながるドル安/円高リスクもくすぶる。ようやく米金利上昇に反応し始めたドル/円JPY=だが、米株安が続けばリスクオフの円高方向に反応する可能性もある。円高が進み切って円安への反転が見えてくればいいが、「手を出すにはまだ早い」(国内生保の運用担当者)との声が多い。

    さらに今は2月。3月期末が近付いており、「国内の大手機関投資家が新たにリスクを大きくとれる時期ではない」(パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部長の松川忠氏)とされる。

    野村証券の高田氏の試算では、CTA(商品投資顧問業者)の米10年国債先物ショートポジションは、13年のバーナンキ・ショックや16年の米大統領選直後のレベルに拡大。昨年後半から続いてきた米金利上昇もそろそろ一服するとの見方もある。

    ただ、リスク・パリティやCTAなど最近の市場を席巻しているアルゴリズム系プレーヤーはトレンドフォロー型が多い。相場がいったん進み始めるとなかなか止まらないのはそのためだ。変動率からみれば、株価などの調整はまだ小さいだけに、警戒感も残っている。

    (伊賀大記 編集:田巻一彦)

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