[東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日に発表した4月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比10.1%増の9431億円となった。事前予測を大幅に上回り、受注額はリーマン・ショック前の2008年6月の水準にほぼ並ぶまでに回復した。内閣府は、機械受注の判断を「持ち直している」に上方修正した。
ロイターの事前予測調査では2.8%増と予想されていたが、結果はこれを上回った。前年比でも9.6%増だった。受注額は9431億円で08年6月の9453億円(訂正)以来の大きさとなった。
機械受注は1─3月期に3四半期連続で増加した後、4月も高い伸びで、設備投資の本格回復をうかがわせる内容となった。
内閣府が民間機械メーカーからのヒヤリングをもとに前月発表した4─6月期見通しは、前期比7.1%増と相当高く見込まれている。4月の伸びが大きかったことから、この見通しは5、6月が前月比0.7%減となっても達成可能。両月それぞれ7.5%減より小幅な減少であれば4四半期連続増加となり、達成は十分視野に入りそうだ。
今月プラスに寄与したのは製造業。前月比22.7%増と高い伸びで、前月の17.5%減の落ち込みを打ち消せして余りある。造船業や汎用・生産用機械からの受注に加えて、鉄道車両の受注もあった。
非製造業は同0.4%増。年初来増加傾向にある。情報サービス業などからの受注が寄与した。
1─3月期国内総生産2次速報は、設備投資が大きく鈍化するなど全般的に足踏みが意識される内容だったが、民間調査機関からは、今回の機械受注統計からみて「しばらくは設備投資需要が堅調に推移することを示すものと判断できる」(農林中金総研)との声がある。
世界的なIoTや人工知能への急速な展開を受け、半導体製造装置などの需要やロボットの生産が勢いを増すなど、設備投資環境は良好だ。国内でも、人手不足から省力化投資はどの産業においても喫緊の課題となっている。
ただ、米国を巡る貿易摩擦の影響や自動車への高関税などの措置が今後設備投資に影を落とすリスクを指摘する声もある。
*本文2段落目の「9451億円」を「9453億円」に訂正し、誤字を修正します。
中川泉 編集:田中志保
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