February 19, 2018 / 8:18 AM / 4 months ago

コラム:ステルス・バブル動揺、次は新興市場からマネー流出も

田巻 一彦

 2月19日、直近の米株式は落ち着きを取り戻し、世界的なマーケット危機は回避されたとの楽観的な見方が市場で広がっている。だが、その見方は早計かもしれない。写真はニューヨーク証券取引所で9日撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

[東京 19日 ロイター] - 直近の米国株は落ち着きを取り戻し、世界的なマーケット危機は回避されたとの楽観的な見方が市場で広がっている。だが、その見方は早計かもしれない。

今回の市場変動は、主要中銀の超緩和策で広がった「ステルス・バブル」が、中銀の「方向転換」で揺さぶられているために生じている。米長期金利が上昇を続けている間は、レバレッジの巻き戻しが止まらないだろう。次は新興国市場からのマネー流出が本格化する可能性がある。

<VIX指数低下でも、安心できない理由>

2月12日から16日の週のダウ.DJIは前週末比4.25%上昇し、2016年11月以来の上げ幅となった。ボラティリティー・インデックス.VIXも20を割り込み、市場関係者には安堵感が広がっている。19日の東京市場で日経平均.N225が400円超上昇した背景にも、ボラ低下を好感した買いが入っているとみられる。

ただ、今回の市場変動を俯瞰(ふかん)してみると、株高と債券高が同時進行する適温相場(ゴルディロックス相場)が、米長期金利US10YT=RR上昇をきっかけに大きな力を受け、価格変動が増幅したとみることができる。

適温相場の源は、米欧日など世界の主要中銀による大規模な金融緩和だった。マネーはグローバルにうねりを強め、様々な市場に流れ込んだ。

通常、株高になれば金利が上昇するが、今回は株高と債券高が共存し、NY市場では株高を謳歌しつつ長期金利が15年から16年を中心にいったん2%を割り込むなど、米国債市場がマネーの大きな受け皿になっていた。

<ステルス・バブルの生成と動揺>

ドルと原油は逆相関になることが多いが、つれ高する展開がしばしばみられた。そこに金も加わって、多くの市場で価格が上昇するという、滅多にみられない現象が発生していた。

今回は、あふれるマネーが特定の市場に集中することはなく、全体としてバブル的なムードがほのかに感じられるが、「目に見えて」特定の市場価格が急騰することは起きていない。

私は、今回のマネー現象を「ステルス・バブル」と名付けたい。

しかし、この心地よい相場展開は、トランプ米大統領の税制改革とインフラ投資計画によって強く揺すぶられ、米長期金利の上昇を誘発。

その結果、あふれるマネーを利用して展開されてきたレバレッジを利かせたトレードの巻き戻しが相次ぎ、米株と原油が同時に下がるという相場がつい最近まで続いた。

ステルス・バブルの中核に「ソブリン・バブル」が存在し、国債価格の下落が、ディレバレッジの動きをもたらした。

<トランプ減税の衝撃>

米連邦準備理事会(FRB)が3月に利上げを実施し、年内4回の利上げを予想する声も、足元で急速に広がり出した。

米国内では、失業率の低下だけでなく賃金上昇の動きがようやく目立ち始め、インフレ期待を刺激する環境が整いつつある。

16日の米長期金利は2.873%と小幅低下したが、トランプ減税の実行に伴って米財政赤字拡大が意識され、長期金利の押し上げ要因となっている。

ソブリン・バブルがジワジワと崩れ出せば、適温相場が元に戻ることはなくなるだろう。

<警戒すべき新興国株と債券の下落>

ここで、ステルス・バブル生成期に生じていたマネーフローを確認しておきたい。あふれ出たマネーの一部は、新興国市場の株や債券などに流入した。

新興国の株や債券は、足元でいったん買い戻されているが、米長期金利の上昇基調が鮮明になれば、かなり危い展開になるリスクがある。

また、ドル債務を抱えた外国企業は、米金利の上昇で返済すべき債務額が膨張する。特に新興国では、そうした企業の信用不安が表面化しやすく、米株が戻ってきたからと言って安心できない。

むしろ、新興国市場の動揺によってリスクオフ心理がかき立てられ、それが米株に波及するルートも警戒するべきだろう。

市場では、米長期金利がゆっくりと上昇すれば、世界の市場に与える打撃は軽いとの見方がある。確かに日米欧などの市場に限定すれば、その可能性が高いかもしれないが、新興市場で予期せぬ変動が起きると、楽観論も吹き飛んでしまいかねない。

ステルス・バブル崩壊の兆しは、軽くみない方がいいかもしれない。

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