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アングル:2017年市場コンセンサスと注目すべき「9つの論点」
2016年11月26日 / 00:06 / 1年後

アングル:2017年市場コンセンサスと注目すべき「9つの論点」

[ロンドン 7日 ロイター] - 35年続いた債券の強気相場が終わり、インフレが復活し、金融緩和は限界に達して主役は財政政策に移る──。2017年の経済に関する金融市場の統一見解はこんなところだが、中には大胆な逆張り予想を示している専門家もいる。

 12月2日、今年は政策、経済状態、ファイナンスのすべてで潮目が一変した。こうした中で投資家は既に期待と不安を交えながら来年に目を向けつつある。写真は11月、ニューヨーク証券取引所のトレーダ―(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

一般的な見通しに基づくと、来年は債券利回りと先進国の株、ドルが上昇し、反対に新興国の通貨・株・債券は米長期金利の上昇に押しつぶされて苦戦しそうだ。

株式市場ではディフェンシブ(守りの)銘柄よりも景気循環的な銘柄が人気を博し、長短金利差拡大の恩恵を受ける銀行株や、インフラ投資増加が追い風となる住宅・建設株が上昇するはずだ。

こうしたコンセンサスに対する逆張り予想や、目を引く大胆な予想を以下にまとめた。

(1)債券利回りが低下

HSBCは、10年物米国債利回りが第1・四半期に2.5%まで上昇する可能性があるが、その後は下落すると見る。債券ストラテジストのスティーブン・メージャー氏は、2.5%まで上がると金融環境が過度に引き締まり、景気や米連邦準備理事会(FRB)の足かせになるとして、1.35%への揺り戻しを予想している。

(2)ブラックスワン

ソシエテ・ジェネラルのエコノミストは4つの「ブラックスワン(想定外)」シナリオをグラフ化した。来年の見通しを一変させかねないリスクとして、政治の不透明感(リスク度30%)、債券利回りの急上昇(25%)、中国のハードランディング(25%)、貿易戦争(15%)を挙げている。

(3)ECBがQE拡大

インフレは底を打ち、FRBは利上げを進める。欧州中央銀行(ECB)は月額800億ユーロの量的緩和(QE)政策を縮小(テーパリング)する、はずだ。

いや、そうではないかもしれない。

RBCキャピタル・マーケッツはECBが今月QEの期間を延長し、来年も物価と経済成長が予想に届かないため、再び延長を検討せざるを得なくなると予想する。

この結果、米国とユーロ圏の10年債利回り格差は一段と拡大しかねないという。

(4)ユーロも上昇

ドルが他の主要通貨に対して割高だという説はあまり耳にしないが、UBSは、ECBのテーパリングを支えにユーロが来年末に1ユーロ=1.20ドルまで上昇すると予想している。ポンドも過小評価されているため上昇するとの見方だ。

(5)新興国通貨でキャリー稼ぎ

ドル高と米金利の上昇が新興国を圧迫するとの見方に異を唱える者は少なく、ゴールドマン・サックスもそうした予想を立てている。しかしゴールドマンが示した2017年の推奨取引ベスト10には、新興国資産の購入を絡めたものが2つある。

1つはブラジルレアル、ロシアルーブル、インドネシアルピア、南アフリカ・ランドを等分に組み込んだ通貨バスケットをロング(買い持ち)にし、韓国ウォンとシンガポールドルを半分ずつ組み込んだバスケットをショート(売り持ち)にする取引で、「良好なキャリー」が得られるという。もう1つはブラジル、インド、ポーランドの3カ国の株式をロングにする取引だ。

(6)米企業の利益送還は1兆ドル

トランプ次期米大統領が公約通り法人減税を実施した場合、米企業が海外から本国に呼び戻す利益について、ドイツ銀行は約1兆ドルに達すると予想している。そうなれば、既に過去最高値をつけている米国株は鬼に金棒かもしれない。

シティは、先進国を中心に世界の株価が来年10%上昇すると予想。10%のドル高と20%の米法人税減税が実現すれば、世界的に企業の1株当たり利益は6%増えると見ている。

(7)中国株の強気相場再来

モルガン・スタンレーは中国株の強気相場が再来し、上海総合株価指数は36%高の4400ポイントで2017年を終えると予想している。

ただしこれは、米中間で保護主義的な貿易政策を巡る大きな対立が生じず、中国が年前半に緩和的な金融政策を維持することが前提。不動産規制強化で富裕層の資金が株式に流入し始めている面もあるという。

(8)1ドル=8元の人民元安

人民元が下落を続けるとの見方は共有されているが、1ドル=8元までの下落を見込む者はほとんどいない。しかしドイツ銀行は2018年には8元台に達すると予想する。

この要因の1つはドル高で、もう1つは中国政府が外貨準備を3兆ドル以下まで崩すのを控えると見られることだ。外貨準備を取り崩して元安のスピードを和らげていたここ数年に比べ、人民元は資本流出に直撃されやすくなるという。

(9)ブリメイン

英国は欧州連合(EU)に残留(リメイン)する。さよならブレグジット、こんにちはブリメイン。

これはかなり確率の低いシナリオで、ノムラのアナリストも実現しないだろうと見ている。しかし同社は、投資家が少なくとも念頭に置いておくべき「グレイスワン」の出来事10件の中に、英国のEU残留を入れている。

残留に至る道筋の1つとして考えられるのは、EU離脱交渉に議会の承認が必要か否かを巡る裁判所判決などをきっかけとして、英国が総選挙を実施するという英国主導のケースだ。もう1つは、英国がずっと望んできた改革にEUが応じ、英国は残留したくなるというもの。こうした想定に基づく取引として、野村はポンド買い・円売りを挙げている。

(Jamie McGeever記者)

*12月5日配信の記事に内容を更新して再送します。

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