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金融危機時の「赤信号」再び点灯、ドル需要ひっ迫で

[ロンドン 9日 ロイター] - 通貨スワップ取引におけるドル資金の調達コストが需給ひっ迫を背景に上昇しており、金融市場には世界金融危機以降で最も強い緊張状態が生まれている。

 6月9日、通貨スワップ取引におけるドル資金の調達コストが需給ひっ迫を背景に上昇しており、金融市場には世界金融危機以降で最も強い緊張状態が生まれている。写真はタイのバンコクでドル札を数える銀行員。5月撮影(2016年 ロイター/Athit Perawongmetha)

活発なドル需要をもたらしている大きな要因としては、ユーロ圏や日本の投資家がマイナス金利を嫌って、少しでも利回りが高い米国債を積極的に購入していることが挙げられる。米国債利回りの低下で、今後米銀の収益悪化も懸念されている。

2007─08年の金融危機時にはドル需要が高まり、やはり通貨スワップのドル調達コストが跳ね上がって、金融システムはかつてないほど緊迫した。現在は表面だけ見れば、銀行は金融危機とその後の景気後退局面よりもずっと健全な状態にある。それでも通貨スワップ取引では、ドルの割高感が鮮明だ。

足元の3カ月物ドル/円ベーシススワップはマイナス75ベーシスポイント(bp)で、つまりドルの調達コストは円に比べて75bp高い。今年のほとんどの期間はマイナス60bpで推移していた。

3カ月物ユーロ/ドルのベーシススワップは約マイナス38bpで、今年に入って最もマイナス幅が大きい。ユーロ圏危機が最も深刻だった2011年のマイナス160bpや、リーマン・ブラザーズが破綻した08年9月のマイナス300bpよりは、ずっと小幅だが、金融危機から8年経過した今になってまたこれだけのマイナスに振れた点は注目に値する。というのも金融危機以降はずっとユーロ/ドルのベーシススワップはほぼゼロだったからだ。

ドルの調達コストが上がったことで、今後銀行は、金融危機を受けて米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする主要中銀が導入した一時的なドル資金供給措置などの利用を迫られるかもしれない。

JPモルガン(ロンドン)の欧州金利戦略責任者、ファビオ・バッシ氏は「今目にされている一部のベーシススワップの水準は、過去に投資家が中銀の与信枠利用で払ったコストを上回ってしまった」と指摘した。

ドル調達意欲の強まりの理由は、主としてユーロ圏と日本のマイナス金利にある。

ドイツ銀行(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、スチュアート・スパークス氏は、ユーロ圏や日本からの相対的に利回りが高い米国資産への需要が「市場の正常から逸脱した状態」をもたらしており、米銀の収益を圧迫しかねないと警告した。

同氏は「米銀にとってこれは利用可能な資産のリターンと純利ざやの低下につながっている。同時に資本基準は引き上げられており、心配の種だ」と話す。

フィッチ・レーティングスによると、世界全体では10兆ドル相当の政府債がマイナス利回りとなっていて、そのほとんどはユーロ圏と日本だ。ユーロ圏では期間9年まで、日本も10年までの国債利回りがマイナス水準で取引されている。

この影響で米国債も2年と10年の利回り差が90bp前後まで縮小し、07年以降ではイールドカーブが最もフラット化が進んだ。だが銀行は短期資金を借り入れてより金利が高い長期貸し付けで稼ぐ以上、イールドカーブがスティープ化することを望んでいる。

(Jamie McGeever記者)

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