September 1, 2015 / 1:05 AM / 4 years ago

アングル:中国などが「量的引き締め」、経済防衛へ外貨売却

[ロンドン 28日 ロイター] - 世界の主要中央銀行は2007─08年の金融危機とその後の景気後退がもたらした悪影響を和らげるため、量的緩和(QE)が持つ力を信じて金融システムに潤沢な資金を流し込んできた。

 8月28日、世界の主要中央銀行は2007─08年の金融危機とその後の景気後退がもたらした悪影響を和らげるため、量的緩和(QE)が持つ力を信じて金融システムに潤沢な資金を流し込んできた。香港で13日撮影(2015年 ロイター/Tyrone Siu)

先鞭をつけたのは米連邦準備理事会(FRB)で、バトンを引き継ぐ形で欧州中央銀行(ECB)が今年になって1兆ユーロ規模の債券買い入れプログラムを始動させ、日銀もまた大規模緩和を続けている。

ただここにきて「量的引き締め(QT)」とでも呼ぶべき逆の力が勢いを持ちつつある。中国が急激な資金流出から自国経済と市場を守ろうと外貨を売却し、他の新興国も追随しているためだ。

シティグループのアナリストチームの推計では、過去1年程度で見ると世界の外貨準備額は毎月平均590億ドルのペースで減少し、この数カ月間では減少ペースが1000億ドルに迫っている。

別の大手グローバル行筋は、新興国は8月だけで計2000億ドルの外貨を売却し、そのうち1000億─1500億ドルは中国だった可能性が大きいとの見方を示した。

ドイツ銀行の通貨アナリスト、ジョージ・サラベロス氏は「中国からさらに資金が流出する可能性は相当に大きい」とした上で、QTがもっと進むと懸念される点が重要だと述べた。

中国の外貨準備は世界で群を抜く規模で、大半は米短期国債や米国債などのドル建て資産。6月末時点では総額は3兆6900億ドルだった。ただ1年前に過去最大の約4兆ドルを記録した外貨準備はじりじりと減少傾向にあり、一部はドル高を受けた為替介入に回されているものの、最近は完全な資産売却が主因となりつつある。

こうした中国やその他新興国による米国債売却は大きな影響をもたらす可能性を秘めている。

シティがさまざまな調査研究をもとに試算したところでは、米国の国内総生産(GDP)の1%相当の外貨準備が減少すると、米10年国債利回りは15─35ベーシスポイント(bp)押し上げられるとみられる。

ノムラの中国チーフエコノミスト、Yang Zhao氏は、中国人民銀行(中央銀行)が7月と8月に1000億ドルに迫る外貨準備の売却に動いたと見積もっている。

同氏は「われわれの計算によると中国から7月に900億ドルの資金が流出したが、為替レートは変化しなかった。これはつまり人民銀行が1000億ドル近くの外準を売ったと推察される。人民銀行は人民元を3%安く誘導した後は、下支えのために積極的な介入を始めた。だから8月も、売却額は1000億ドル目前になっただろう」と説明した。

コモディティ価格の急落と中国などの成長懸念を背景に、新興国から資金が逃げ出している。調査と資産運用を手掛けるクロスボーダー・キャピタルによると、過去1年間に新興国から出て行った資金は約1兆ドルで、そのうち中国からが7500億ドル強を占める。

これに伴って多くの新興国の中銀は、通貨安を食い止めるために外準を使わざるを得なくなった。

一方で人民元切り下げをきっかけにした世界的な「通貨戦争」が激化するとの懸念が広がり、新興国通貨が値下がりする流れが再び強まって、ベトナムドンやカザフテンゲなどが切り下げに追い込まれる事態も生じている。

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