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〔クロスマーケットアイ〕「五輪相場」モメンタムは減速、リスクオンムードは変わらず

[東京 11日 ロイター] - 「五輪相場」のモメンタムはやや減速している。波及効果などへの「期待」はある程度織り込まれ、ゼネコン株の一角には利益確定売りが出始めた。ただ、シリア情勢の警戒感後退や、中国の経済指標改善などが追い風となり、株高・円安の好循環に入っている。米国の量的緩和縮小や日本の消費増税に対する警戒感が後退していることもあり、リスクオンムードは変っていない。

  <「フィーバー」は徐々に落ち着き>

2020年の東京五輪開催にともなう経済効果について多種多彩な試算が出ているが、まだ「皮算用」の段階にすぎない。「インフラ投資が急拡大していけば、スキルをもった熟練労働者の不足がボトルネックになる」(シンクタンク)との指摘もある。実際にどこまで業績拡大につながるかは不透明だ。現時点では、あくまで期待感をベースにしたデイトレーダーなど個人投資家の買いが主体の「五輪相場」である。

11日前場の東京株式市場では、大成建設 、清水建設 、鹿島 、大林組 の大手ゼネコン4社はいずれも反落。週初から東京五輪関連のインフラ投資増加への期待で資金を集めてきたが、短期的な過熱感が強く、早くも利益確定売りが出た。東証1部売買代金は引き続き2兆円超ペースだが、売買代金上位は建設株が上位を占めており、個人中心の相場であることを示唆している。

日経平均 は3日続伸。取引時間中としては7月25日以来約1カ月半ぶりに1万4500円台を回復したが、大台に乗せた後は伸び悩んだ。13日にメジャーSQ(特別清算指数)算出を控え、1万5000円をねらう短期筋の仕掛け的な買いが強まる可能性もあるが、五輪決定を受けた「フィーバー」は徐々に落ち着き始めている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「個人投資家中心の相場だが、期待感はある程度織り込まれた。オーバーシュート気味の銘柄も多い。今週中はお祝いムードが続くとしても、早晩、業績がどうなるかというファンダメンタルズ判断の段階に移行するだろう」と指摘している。

 <リスクオン材料相次ぐ>

ただ、国内経済は堅調であるほか、海外では中国経済やシリア情勢などネガティブ材料が次々と後退している。「五輪相場」の勢いは鈍化したとしても、世界的なリスクオンムードを背景に、株高・円安トレンドが続く可能性もある。日本株に比べ上昇スピードがやや弱かったドル/円もようやく100円台半ばまで戻してきた。

「100円を値固めして、まずは7月19日高値100.87円や7月8日高値101.54円をトライしていく流れになるとみている。年末に向けて100円から103円というところを緩やかにたどっていくのではないか」とみずほ証券チーフFXストラテジスト鈴木健吾氏は予想している。

中国経済指標の改善を背景に上海総合指数 は4日続伸。6月6日以来の水準まで戻している。「以前のような2桁成長は望めないとしても、一定の成長を維持する政策をとっている。中国経済への懸念が後退すれば、新興国経済への懸念も後退する」(東洋証券・投資情報部シニアストラテジストの檜和田浩昭氏)という。

シリア問題も懸念が後退している。シリアは10日、ロシアが前日提案していた化学兵器の国際管理を受け入れる意向を示した。オバマ米大統領は10日夜、国民向けに演説し、外交手段を追求する間、対シリア行動に関する採決を延期するよう議会に要請したと表明した。

市場では、オバマ米大統領が、軍事オプションの行使判断を議会に委ねたことで、「よほどのことがないと米国は軍事介入しない、できないということになりかねない。『世界の警察』たる米国の存在感が後退することで、テロなどが起きやすくなるリスクが高まる」(準大手証券)との指摘も出ているが、軍事介入の可能性低下は短期的にはマーケットの警戒感後退につながっている。

  <金利も低水準で推移>   景気回復への障害となりかねない金利上昇も今のところ押さえられている。リスクオンムードの強まりで、円債市場では流動性が高い先物ゾーンを中心に売りが先行したが、9月国債大量償還対応や9月期末を控えた債券残高積み増し需要、日銀の買入など好需給要因に支えられ、下げ渋った。

政府が9月月例経済報告で、景気判断を上方修正する方針であることに加えて、安倍晋三首相が10月上旬に行う消費税率引き上げの最終判断を前に、9月中に経済政策パッケージを取りまとめるよう、関係閣僚に指示したことで、消費税率引き上げは既定路線との見方が広がっている。

財務省と内閣府が11日発表した7―9月期期法人企業景気予測調査によると、企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)は、大企業全産業でプラス12.0となり、3期連続で改善。本来なら、景況感の改善は債券売り要因だが、現在の円債市場では消費増税を後押しするとしてポジティブに受け止められている。

また、前週末の8月米雇用統計が市場予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の早期縮小に踏み切ったとしても、その縮小ペースは緩やかになるとの見方がコンセンサスになりつつある。不透明要因が一つ一つ払しょくされつつあることで、円債独自の需給要因が地合いの底堅さにつながっている。投資家は押し目買い姿勢だが、「相場の押しが浅いため、十分に買えていない投資家に焦りも感じられる」(国内証券)との声も出ていた。  <東京市場 11日> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日経平均  国債先物12月限 国債330回債   ドル/円(12:00) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 14513.17円 143.49円 0.745% 100.43/45円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

+89.81円 -0.04円 +0.015% 100.38/42円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注:日経平均、国債先物、現物の価格は前引けの値。

下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。

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