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〔焦点〕米緩和縮小見送り、市場では歓迎の声と困惑が交錯

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 18日の米金融市場は、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を見送ったことを好感し上昇したが、緩和縮小を織り込んできた投資家の間では困惑が広がっている。

市場ではFRBが17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で月額850億ドルの債券買い入れを小幅に縮小すると予想されていた。

だがFRBは、最近の住宅ローン金利上昇や議会の財政引き締めに向けた動きによる影響に懸念を示し、経済成長の底堅さが確信できるようになるまで買い入れ縮小の判断を先送りする姿勢を示した。

これを受けて18日の米株市場は大幅続伸。ダウ工業株30種 とS&P総合500種 が過去最高値で引けた。

ロックウェル・セキュリティーズの首席市場アナリスト、ウェイン・カウフマン氏は「FRBは経済が弱いというメッセージを送っており、理解に苦しんでいる」と語り、「投資家が緩和縮小に備えられるよう、小幅な縮小が決定されていた方が良かったと思う」と指摘した。

バーナンキFRB議長は当初5月に、景気の改善が続けば年内に債券買い入れプログラムを縮小する可能性があると発言。これを受けて市場は混乱、債券利回りと住宅ローン金利は3カ月間にわたって1%ポイント強押し上げられ、米住宅市場の回復を鈍らせた。

5月初めに1.61%だった米10年国債の利回りは今月、3.0%をやや上回り、2年ぶりの高水準に上昇した。18日は2.69%。

FRBはこの夏にかけての金融状況のタイト化が続いた場合、景気と労働市場の回復ペースが減速する可能性があると警告した。

こうした状況がFRBの景気認識に影響を与えたとみられ、声明と同時に公表されたFRBの最新の経済見通しでは、2013年の成長率予想(中間予想値)が2.0─2.3%と、6月時点の2.3─2.6%から引き下げられた。短期的な見通しとしては過去1年以上で最も大幅な下方修正となった。

アメリプライズ・フィナンシャルの首席市場ストラテジスト、デビッド・ジョイ氏は「(FRBは明らかに)われわれが望むほど経済が強くない」というメッセージを市場に送っていると指摘。「今後の企業決算に影響するだろう」との見方を示した。

<矛盾するメッセージ>

ロイターが最近実施したエコノミスト調査では今年の米経済成長率は2.5%、2014年は3.0%になると予想されていた。

チャップデレイン・フォーリン・エクスチャンジのマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は、こうした予想が今月量的緩和が縮小されるとの投資家の誤った見方につながったのだろうと指摘する。同氏はFRBが緩和を見送ると予想していた少数派の1人。

同氏はまた「FRBは常にデータ次第だとしてきた。しかし、過去1カ月間の指標は良くなかった。米経済の回復はFRBが景気支援措置を解除するほど進んではいない」と指摘した。

一方、FRBのメッセージを手掛かりに今月の量的緩和縮小を見込んでいた債券投資家は異なる見解を示している。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略担当責任者、メアリー・ベス・フィッシャー氏は、金融状況のタイト化が経済成長を妨げているというFRBの見解を特に疑問視し、「本当にそうだろうか。過去数カ月間にわたって、多くのFOMCメンバーが量的緩和の縮小は引き締めではなく、異例の緩和措置の縮小にすぎないと言ってきたではないか」と顧客向けノートの中で指摘した。

<米財政問題>

米国では議会が新会計年度の予算案と連邦債務上限引き上げについて数週間以内に合意できなければ、来月政府機関が閉鎖される可能性があり、新たな懸念材料となっている。

コモンウエルス・フィナンシャルの最高投資責任者(CIO)、ブラッド・マクミラン氏は「FRBは政治的な混乱の可能性をかなり懸念していると考える。現時点で刺激策の縮小に着手することは、まさに今後2週間に必要とされるかもしれないものを取り除いてしまうことになりかねない」と指摘した。

こうした状況は、量的緩和の縮小見送りを歓迎すべきか、懸念すべきかという悩みを投資家にもたらしている。

マクミラン氏は、緩和継続を歓迎する声が聞かれる一方、「実体経済の観点から見ると、FRBは一般に考えられている以上に経済情勢に神経をとがらせていると言えるだろう」と指摘した。

(Steven C. Johnson記者;翻訳 佐藤久仁子;編集 山川薫)

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