(内容を追加しました) [東京 22日 ロイター] - 日銀は22日の金融政策決定会合で、資金供給量( マネタリーベース)を年間60兆─70兆円増やす異次元緩和の継続を全員一致で決めた 。現行の資産買い入れ方針も維持する。昨年10月に決めた「経済・物価情勢の展望(展 望リポート)」の中間評価では、2015年度にも2%の物価安定目標が達成できるとの シナリオを維持した。 会合では、白井さゆり審議委員が先行きのリスク要因として雇用・所得環境の改善ペ ースに触れるべきと新たに主張、声明文の一部記述に反対した。 <14年度GDPを小幅下方修正、それ以外は変わらず> 展望リポートの中間評価では、15年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCP I)の前年比上昇率をプラス1.9%とし、昨年10月時点の見通しを据え置き、同年度 中にも2%の物価安定目標が達成できるとのシナリオを維持した。14年度と13年度も それぞれ同1.3%、同0.7%に据え置いた。 実質国内総生産(GDP)は14年度を同1.4%とし、昨年10月の同1.5%か ら小幅下方修正。15年度と13年度は、それぞれ昨年10月と同様の同1.5%、同2 .7%を見込んでいる。展望リポートについて日銀では「成長率、消費者物価ともに、お おむね見通しに沿って推移すると見込まれる」と評価した。 <駆け込みに言及、物価「しばらく1%前半で推移」> 景気判断は、昨年12月の前回会合の認識を踏襲しつつも、4月の消費税率引き上げ 前の駆け込み需要に言及。現状判断を「緩やかな回復を続けており、このところ消費税率 引き上げ前の駆け込み需要もみられている」とした。先行きは消費税率引き上げに伴う「 駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみ られる」との見方を維持した。 物価については、足元でコアCPI前年比がプラス1%を超えてきており、先行きも 、消費税率引き上げの影響を除き、「しばらくの間、1%台前半で推移するとみられる」 との認識を示した。予想物価上昇率は「全体として上昇しているとみられる」としている 。 <白井委員、雇用・所得の回復をリスクに主張> 海外経済は、一部になお緩慢さを残しているものの、「先進国を中心に回復しつつあ る」とし、前回会合の「全体として緩やかに持ち直している」からやや判断を前進させた 。リスク要因について、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経 済の回復ペースを挙げ、リスクの筆頭が欧州債務問題から新興国・資源国経済に入れ替わ った。これに対して白井委員は国内の雇用・所得環境にも言及すべきとし、リスク要因の 記述に反対した。 金融政策運営では、2%の物価安定目標の実現を目指して「これを安定的に持続する ために必要な時点まで」異次元緩和を継続することをあらためて表明。木内登英審議委員 がこれまでに続いて2%物価目標は緩やかに目指すべきとの議案を提出したが、反対多数 で否決された。 実質GDP コアCPI 消費税率引き上 げの影響を除く コアCPI 2013年度 +2.5─+2.9 +0.7─+0.9 <中央値> <+2.7> <+0.7> 10月時点の見通し +2.6─+3.0 +0.6─+1.0 <中央値> <+2.7> <+0.7> 2014年度 +0.9─+1.5 +2.9─+3.6 +0.9─+1.6 <中央値> <+1.4> <+3.3> <+1.3> 10月時点の見通し +0.9─+1.5 +2.8─+3.6 +0.8─+1.6 <中央値> <+1.5> <+3.3> <+1.3> 2015年度 +1.2─+1.8 +1.7─+2.9 +1.0─+2.2 <中央値> <+1.5> <+2.6> <+1.9> 10月時点の見通し +1.3─+1.8 +1.6─+2.9 +0.9─+2.2 <中央値> <+1.5> <+2.6> <+1.9> (伊藤純夫、竹本能文)