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[サンパウロ 29日 ロイター] - ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した今年第2・四半期の国内総生産(GDP)成長率は前期比で0.6%減り、市場予想の0.4%減より落ち込みが大きかった。
第1・四半期の伸び率が0.2%減に下方修正され、景気後退に陥ったことになる。投資が大きく落ち込んだほか、サッカー・ワールドカップ開催に伴い経済活動に影響が出た。
ルセフ大統領は、10月の選挙で再選を目指す。だが、決選投票で元環境相のシルバ候補にリードを許すとの世論調査結果も出るなかで、今回の統計内容はルセフ氏に大きな痛手となった。
ルセフ氏が左派寄りの政策を進めるなか、消費者や企業の信頼感が低下、経済は3年間以上さえない伸びを示していた。
景気後退は、世界金融危機に見舞われた2008━09年以来となる。
ルラ前大統領の任期中、平均経済成長率は4%だった。ルセフ政権下では2%を下回る見通しだ。
29日のブラジル株式市場は上昇した。投資家の関心は、悪い経済指標でなく、ルセフ氏落選の可能性が高まっている方に集まった。
ルセフ氏は、年後半の景気が好転するとの見通しを示した。陣営がソーシャルメディアでコメントを流した。
第2・四半期は、投資が5.3%減り、2009年初め以来の低水準となった。製造業は1.5%減った。
6━7月のサッカー・ワールドカップの開催期間中、各地で試合日が祭日となるなどしたことも、経済活動の重荷となった。
ルセフ政権は、海外問題が未解決のため、ブラジル経済が減速したとの見方を示す。
マンテガ財務相は記者団に「優等国でさえも、経済成長を加速させるうえで問題を抱えていると強調したい」と述べた。特有の、季節に関連した統計上の影響などで、GDPが押し下げられたとの認識も示した。
マンテガ氏は、失業率が低く安定していると強調、国内状況から景気が後退していると言えないと話した。さらに、第3・四半期は回復に向かうと見通した。
以前と比べて、鉄鉱石や砂糖、トウモロコシなど国内の主要商品作物への海外需要も鈍った。
ただエコノミストや財界首脳らは、ブラジルが最近抱える問題の大半は国内要因によるもので、ワールドカップなどの短期要因より相当根深いと指摘する。次期大統領は、改革を深彫りする必要があると指摘する。
格付け会社、フィッチ・レーティングスは、改革を怠れば債務格付けに悪影響が及ぶ恐れもあるとしている。同社はメモで「中期経済見通しは、信頼感を回復する次期政権の施策に大きくかかってくる」とした。
今回の統計を受け、一部エコノミストは通年の経済成長率をゼロに下方修正するとした。
ブラジル中央銀行は今年に入り、物価上昇に対抗するため利上げを行った。利上げも第2・四半期の景気減速要因となった。
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