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財政出動機運乏しい東南アジア、政治停滞や汚職摘発が足かせに

[ジャカルタ 29日 ロイター] - 東南アジアでは全般に経済が低迷するなか、金融政策にも限界が生じており、各国政府による財政出動への圧力が一段と増している。しかし各国政府は財政支出を増やせずにいる。原油安により政府予算に余裕が生まれたにもかかわらず、政治の停滞や汚職摘発などが公共投資を妨げているからだ。

東南アジア経済は勢いを失っており、最新データをみる限り第2・四半期に急反発するとも期待できない。特にアジアのけん引役である中国の需要にブレーキがかかったことが大きい。

28日の発表によると、フィリピンの1─3月の成長率は3年超ぶりの低水準となった。輸出低迷と政府支出の減少が響いた。域内最大の経済規模があるインドネシアは6年ぶり低水準に落ち込んだ。マレーシアも同様に成長が鈍化した。

さらに域内の大半の地域の消費者や企業は、ここ何年も享受してきた低金利や緩和マネーで重い債務を抱え、金融政策の効果が出にくくなっている。インフレ率上昇の兆しからも、さらなる利下げの余地は少ないとみられる。

2014年中盤以降、世界の原油価格が急落し、域内の多くの国で燃料補助金の負担が減ったとき、エコノミストは政府支出が急拡大すると予想したが、それは実現しなかった。

オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)銀行は調査リポートで「(急落から)ほぼ一年がたち、主要経済国で財政出動にどうしても弾みがつかないことが明確になった」と指摘した。

インドネシアではジョコ大統領が原油安に乗じてガソリン補助金を撤廃し、浮いた資金をインフラ整備に投入しようとした。だが今年の設備投資予算220億ドルのうち、5月中旬までに消化されたのは4%にも満たない。官僚主義のせいで公共事業が大幅に遅れているためだ。

インドネシア中銀のマルトワルドヨ総裁は予算を使わなければ景気浮揚効果もないと指摘。「適切なタイミングで予算を執行する非常に大きな責任がある」と述べた。

タイの軍事政権は2022年までに980億ドルのインフラ支出を予定するが、多くのエコノミストが懐疑的だ。会計年度が始まってほぼ8カ月経過したが、100億ドルの設備投資予算のうち3分の2は未使用のまま。政府が汚職摘発を重視しているためだ。

クレディ・スイスのエコノミストは「政府のインフラ投資は引き続き、高い遅延リスクに直面する」とし、タイの今年の成長率予想を3.7%から3.1%に引き下げた。

フィリピンのアキノ政権も、政府支出の遅れが第1・四半期成長率を下押しした。ANZ銀行は「汚職スキャンダルの長引く影響から立ち直っていない」と分析した。

唯一の例外は財政に余裕の乏しいマレーシアだ。歳入の30%を占めるオイルマネーが激減したことで打撃を受け、巨額の財政赤字と比較的高い公的債務を抱える。景気対策を打つのは危険な状況だ。

HSBCのニューマン氏は、それ以外の国々では財政保守主義のために減税などに踏み切れず、「余力は十分あるのにまだ実行していない」との見方を示す。

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