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〔情報BOX〕ギリシャ国民投票後のシナリオ、どちらに転んでも混迷続く

[アテネ 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)など債権団が突き付けた緊縮財政要求に対して、ギリシャのチプラス首相は5日に国民投票を実施することを決めた。投票結果は不透明だが、緊縮策に「イエス(賛成)」となっても「ノー(反対)」となっても新たな不透明感や政治混迷が生じる見通しだ。

投票後のメーンシナリオは以下の通り。

<国民投票でイエス>

ギリシャの左派政権は大々的に反対票を投じるよう国民に呼びかけている。チプラス首相は債権団の提案をギリシャに対する「侮辱」だとしており、国民投票で緊縮策に賛成となれば退陣する意向を強く示唆している。

チプラス首相が辞任した場合、通常なら解散総選挙に進む見通しだ。総選挙は9月に実施されるとの観測もある。

ただ、ギリシャは7月中に主要な債務返済期限を迎えるほか、銀行閉鎖を余儀なくされるという金融危機のさなかにあることを考慮すれば、債権団との交渉を続けるために総選挙までの「挙国一致」暫定政権の樹立を大統領が推し進めるだろう。

ただ、暫定政権の樹立は難航しそうだ。

中道政党・ポタミ、中道左派・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)、保守派・新民主主義党(ND)といった親欧州政党は挙国一致政権への参加に意欲を示しているが、これらを合わせても議会(定数300)のうち106議席を占めるに過ぎない。

そのため、現与党の急進左派連合(SYRIZA)と連立相手である右派・独立ギリシャ人党がそうした暫定政権を支援、もしくは暫定政権に参加する必要が出てくる。この場合、無所属の政治家もしくはテクノクラートと呼ばれる実務者が政権を率いることになりそうだ。

賛成票を投じるよう国民に呼びかけているコスタス・カラマンリス元首相は、そうした候補の1人だ。

救国政権はギリシャではこれまでにもあった。2011年には当時のパパンドレウ首相が国民投票の実施計画を持ち出したものの、退陣に追い込まれ、翌年の総選挙まで主要政党の支援を受けた実務者が政権を担った。

SYRIZAの一部関係者によると、緊縮策に「イエス」となった場合、チプラス首相自身は職にとどまり、総選挙を実施するとの前提の下で債権団との交渉を続けようとするかもしれないという。

ユーロ圏の政策立案者らは緊縮策に賛成するようギリシャ国民に呼びかけている。

ドイツのメルケル首相は第3次ギリシャ支援交渉の準備があるとの姿勢を示している。ただ、独当局者の間には、支援を受けることに前向きな新政権がギリシャで発足し、欧州中央銀行(ECB)への返済期限を迎える今月20日までに第3次支援を交渉できるかどうかに疑念の声もある。

<国民投票でノー>

ギリシャ政府当局者は、国民投票の結果が「ノー」であれば、債権団との交渉力が強まるとしている。ただ、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長(オランダ財務相)らユーロ圏の政策立案者はこの見方を断固否定している。

チプラス政権は債権団との協議を早急に再開すると表明しているが、欧州当局者は、改革案否決が債権団との交渉の拒否と解釈されることから、新たな支援策で合意することは非常に困難になると考えている。

ユーロ圏政策立案者は、改革案の否決は通貨ユーロの拒否を示唆し、追加支援の可能性へのドアを閉ざすことになると警告してきた。

ギリシャは7月20日に期限を迎えるECBへの大規模な返済でデフォルトに陥る可能性が高い。金融危機は急速に悪化し、不透明感の高まる中、銀行が営業する可能性は低いとみられる。ECBは、ギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)を引き続き凍結することが見込まれ、銀行破綻の危機にひんするなか合意を目指すチプラス首相への圧力はさらに高まるだろう。

そうなれば、チプラス首相が辞任し、新たな挙国一致政権の樹立に道が開ける可能性がある。挙国一致政権はその場しのぎのためIOU(借用証書)を発行して二重通貨制度を選ぶことも予想され、事実上「グレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)」に向かうことになる。

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