[ウィーン 3日 ロイター] - 米マイクロソフト への携帯電話事業の売却後にフィンランドのノキア に残る3つの事業部門は質が高く、赤字部門の売却により事業価値が再評価されるとみられている。
携帯電話事業売却後のノキアの中核事業は、高い収益性を誇るネットワーク機器事業のNSN部門、地図作製・位置情報サービス事業部門、価値の高い特許を扱う知的財産権事業部門となる。NSNはノキアが合弁相手の独複合企業シーメンス から買収し、完全子会社化した。
金融アナリストは3日、ノキアが赤字の携帯電話事業を総額54億4000万ユーロ(72億ドル)で売却し、多額の資金を得た後、残された事業で構成される同社の企業価値は最大50億ユーロ、同社株の2日終値に基づくと45%増加する可能性があると指摘した。ノキア株は3日、33.9%高で取引を終えた。
携帯電話やインターネットなどをカバーするブログ「ラジオ・フリー・モバイル」のリチャード・ウィンザー氏は「残された事業部門を合わせた価値は、携帯電話事業がこれまでその他の資産の価値を押し下げていたことを示している。(携帯事業売却で)ノキアの株主は大きな勝利を収めた」と述べた。
NSNは、2万人の人員削減や固定回線事業からの撤退など、数年にわたる痛みを伴う再編を経て、モバイルブロードバンドを専門に手掛ける収益性の高い事業に成長した。
リベラム・キャピタルのテクノロジーアナリスト、ジャナルダン・メノン氏は、ノキアのNSN以外の2部門についても「素晴らしい質」を評価する。年間売上高が約5億ユーロの特許事業は業界で最も収益性の高い事業の1つとし、地図作製事業については自動車向けで85%の市場シェアを占めていることが高い成長と収益性を約束していると指摘した。
携帯電話事業の売却により、NSNの上場、あるいは地図作製事業および特許事業の売却をめぐる観測がすでに浮上している。
残された事業のさまざまなシナリオに基づき、JPモルガンはNSNの事業価値を60億7000万─121億ユーロと評価。地図・位置情報サービス事業の価値は10億2000万ユーロとし、約1万件の特許を扱う知的財産権事業の価値は56億4000万ユーロと算定した。
マイクロソフトは今回の取引で、ノキアから特許のライセンス供与を10年間受ける契約に16億5000万ユーロを支払うことで合意した。
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