[ワシントン 7日 ロイター] - 米国は政治の混迷を受けてデフォルト(債務不履行)への道をたどっている。財務省は10月17日に債務が上限の16兆7000億ドルに到達すること明らかにしている。
デフォルトの発生状況・時期に関するQ+Aは以下の通り。
─米国のデフォルトはどのように起こるのか。
米連邦政府は1ドルの支出に対し、税収が約0.70ドルとなっており、借り入れをしなければ財政が成り立たない。しかし、米国にお金を貸したいと思っている投資家は多いため、こうしたやりくりも容易だ。問題は、政府の債務には議会によって上限が決められており、その議会が上限引き上げで合意していないことだ。
─そのため米国は10月17日に行き詰るのか。
そうではない。だが、米政府の手持ちのキャッシュが危険なほど低水準になる。政府は5月以降、債務上限に到達しないように策を打っているが、今月中旬にはその上限に到達しそうだ。そうなれば、銀行に預け入れている財務省のキャッシュは約300億ドルになるとみられる。新たな借り入れが不可能になることから、政府は今後の収入と手持ちのキャッシュで支払いを行わなくてはならなくなる。
─そのお金はどのくらい続くのか。
それほど長くはない。議会予算局(CBO)によると、少なくとも一部の支払いは10月22日から月末までの間に滞り始める。翌日の税収がどのようになるか把握できないため、実際の期日は分からない。
─お金が尽きた時に米国のデフォルトが到来すると考えていいのか。
デフォルトの定義次第だ。歴史的に見れば、国の返済が滞った時にデフォルトとされる。オバマ政権は公的医療保険向けの支払いを含め、いかなる支払いが滞ったとしてもデフォルトに含まれるとしている。債務上限到達後、最初に訪れる大きな支払項目は10月23日の120億ドルに及ぶ社会保障関連の支払いとなる。
─金融市場はいつ大混乱に陥るか
国債保有者への支払いが長期間にわたり滞れば市場の警戒感が高まり、さらに、政府による支払いの遅延はパニックにつながる。
米政府は国の債務の支払いを優先させるとアナリストは予想しているが、財務省高官は、どの支払いを優先させるか決定するのは不可能としている。債務上限に達した後、まず、10月17日、24日、31日に債務の支払いがある。CBOによると、17日の支払いは問題ないが、24日と31日分の資金は確保できない可能性がある。
─デフォルトの経済への影響は
デフォルトとなれば、政府はすぐに歳出を約3分の1縮小させる必要がある。ゴールドマン・サックスの試算によると、これが1年続いた場合の影響は国内総生産(GDP)の最大4.2%に相当する。これには金融危機が起きた場合の影響は考慮されていない。投資資金の引き揚げが始まれば株価は急落、年金基金が打撃を受け、消費も冷え込む恐れがある。
世界中の投資家が米国債の価値を見直し、信用市場は凍結する可能性がある。財務省は、デフォルトにより米経済は大恐慌以降で最悪の景気後退(リセッション)に陥ると警告している。
─この状況から抜け出す方法はあるのか
財務省が額面1兆ドルの硬貨を発行し、米連邦準備理事会(FRB)に預け入れ、国庫を水増しするという案がある。合衆国憲法修正14条に基づき、大統領権限で債務上限を引き上げるべきとの議論もある。ただ、米政府はこの2つのいずれも受け入れない方針。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」