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[ワシントン 8日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は8日、米アップル の特許を侵害しているとして韓国サムスン電子 製品の輸入差し止めを指示した米国際貿易委員会(ITC)の決定を有効とする判断を示した。
これによりサムスン電子の旧型スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットの一部は、米国での販売ができなくなる可能性がある。
ITC、および輸入差し止めの実施を担当する税関・国境取締局(CBP)はいずれも、差し止めの対象製品について明らかにしていない。
ITCは8月、サムスン電子の旧型携帯電話機の一部について、アップルの特許を侵害しているとして米国への輸入差し止めを命じる決定を下した。問題となったのは、画面のタッチ操作とヘッドホン差し込み口に関連した2件の技術特許。
USTRは、60日以内にITCの決定を拒否する権限を有しているが、フロマン代表は「消費者や競争への影響、関連機関からの助言や関係者からの情報などを慎重に検討した結果、ITCの判断を認めることを決定した」と声明で述べた。
サムスン電子の広報担当者はUSTRの決定に失望しているとし、「競争を減らし、米消費者の選択肢を狭めるだけだ」と反論した。
サムスン電子は米政府への申し立てで、特許侵害を指摘された技術については設計を変更しており、ITCも変更を承認済みだと主張していた。
USTRは8月、サムスン電子の特許を侵害したとしてアップルの旧型アイフォーンやアイパッドの一部に出されていた輸入禁止令に拒否権を発動し、決定を覆した経緯がある。この際に問題になったのは標準必須特許と言われるもので、低価格で広くライセンス供与を行うことになっている。
今回のサムスン電子製品の販売差し止め決定については、この標準必須特許は含まれていない。
米反トラスト当局は標準必須特許について、侵害した場合にはライセンス料の支払いを義務付けるべきだが、輸入や販売差し止めは必要ないとの立場を示している。
アップルはこの件に関するコメントを控えている。
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