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〔アングル〕無人販売と置き薬モデルの「オフィスグリコ」、都会で快進撃中 

[東京 12日 ロイター] - 好きなお菓子を選び、カエルの貯金箱に100円を入れる―――。こんなシンプルなビジネスが今、急速に拡大しつつある。江崎グリコ が展開する「オフィスグリコ」がビジネス街の住人のハートをつかみ、2016年度の売上高は13年度比30%増の58億円台を目指す。アイスクリームやヨーグルトなどに取扱い商品を広げ、新しいビジネスライフを形成しつつある。

<「リフレッシュ」の切り口で新たな消費を創出>

「楽しく、ちょっと不思議な売り場。開けてみないと何が入っているか分からない」ーーー。同社のオフィスグリコ推進部、古薮啓介部長は「オフィスグリコ」の魅力についてこう話す。

一見すると、自宅にある収納ボックスにも見えるが、横19センチ・奥行き26.5センチ・高さ40センチの3段のボックスには、24個の商品が入っている。

グリコの菓子だけでなく、亀田製菓 の米菓やM&M’Sのチョコレート、食事用として小型のカップラーメンなど、自社だけカバーしきれない他社商品もそろえ、ニーズに応える。

ボックスを開けると、商品が並んでおり、好きなものを選んで、ボックスの最上部に備え付けられた貯金箱のような「カエルの口」に代金を入れる。価格は原則として1個・100円。

「残業時に買うことが多い。外にわざわざ買いに行くのは面倒」というNTTPCコミュニケーションズ(東京都港区)の菊池隆寛さん(38)は、週2―3回利用する。

以前はビルの1階にあったコンビニが移転したことで、同社では全フロアに「オフィスグリコ」を広げた。

コンビニに菓子を買いにはいかない男性会社員も、オフィス内にあることで気軽に買うことができる。「消費者に近付いたことで、なかった消費が生まれた」(古薮部長)。

提供しているのが菓子中心だけに、毎回同じものを食べる消費者は少なく「変化がポイント」という。

スタッフが1回訪れるたびに1段は全て中身を取り換え、残りの2段は減った分を補充する。3回訪問することで、3段のボックスの商品の内容が全て入れ替わることになる。

現在、首都圏や近畿圏など大都市圏を中心に57センターを拠点にして、約500人のスタッフが基本的に1週間に1回、商品の補充や代金の回収などを行っている。

<首都圏強化、5年ぶりに新センター開設>

「オフィスグリコ」は10万事業所に12万台の菓子ボックス、1万7000台の冷蔵庫・冷蔵庫が設置されている。

日本中で展開しているコンビニ5万店舗をはるかに超える規模だ。もともとは消費者との接点を増やそうという狙いで発想されたプロジェクト。菓子が消費されるシチュエーションを調べ、「職場」に焦点を当てたという。

2013年度の売上高は45億円で、1999年の事業開始以来、初めて黒字化した。グリコでは今後、首都圏での拡大に力を入れる。たとえば、虎ノ門ヒルズが完成し、街が大きく変化している東京港区虎ノ門。街の変化はこの事業の成長を後押しするとの観点から、今年10月、約5年ぶりに新しいセンターを虎ノ門に開設する。「この2―3年で東京エリアに新センターを導入していきたい」と、古薮部長の言葉にも力がこもる。

3年後の16年度には設置するボックスや冷蔵庫、冷凍庫を30%増とし、売上高も30%増を目指す。設置先は約12万事業所に増え、提供先の人数は現状の180万人から203万人に増加させる方針。

<アイスも人気商品に>

ビジネスのヒントは、郊外でみかける無人の野菜販売スタンドと、商品が減った分だけ補充する富山県が有名な置き薬。この2つを組み合わせ、1999年に大阪北区で「オフィスグリコ」が始まった。

菓子箱設置から始まったビジネスは、あたらなニーズにも対応を始めている。温暖化や節電でオフィスの室温は上がっており、アイスクリームの需要が高まっているのだ。

グリコでは、冷凍庫に約3種類・50個程度のアイスクリームを入れて提供しており、2013年度の売上高は10年度比1.4倍に拡大した。

また、今夏から、ヨーグルトやプリンといった賞味期限のある商品の提供もテスト的に開始した。これにより、朝食も含めて1日中のニーズに対応が可能となる。さらに東日本大震災で帰宅困難者が多数生まれたこともあり、震災以降は「災害備蓄」という側面を意識する設置先企業もあるという。

代金の回収率は95%。カエルの貯金箱にきちんと代金を入れる、という、日本人の正直さが支えるビジネスでもある。

海外展開について、古薮部長は「従業員のリフレッシュメント提供で始まった事業。代金回収方法に知恵を出し、Made in japan として海外に持っていければ素晴らしいと思う」と話している。 (清水律子 編集:田巻一彦)

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