[ワシントン 15日 ロイター] - 世界銀行は15日、世界開発報告書を公表し、途上国は金融セクターを早急に強化する必要があると指摘し、インフレや金利などを巡るリスク同様、途上国の公的および民間部門債務の透明性に関するリスクが高まっているとの見方を示した。
また、中国国内の融資や政府の担保融資に関する透明性の欠如に対して改めて懸念を示し、民間部門におけるリスクの高まりも指摘した。
報告書は、民間部門の債務に関する透明性を高める取り組みをさらに進め、より積極的な不良債権管理を行うよう促している。
世界銀行のカーメン・ラインハート首席エコノミストはロイターとのインタビューで、途上国の中小企業の46%が半年以内に債務の支払いが滞ると見込まれているが、国によってはこの割合が倍に上ると説明した。
インド、南アフリカ、フィリピン、ケニアなどの主要新興国の民間債務の動向を注視しているとし、これらの国では中小企業の65%以上の支払いが滞ると予想していると語った。
不良債権の割合は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)当初に懸念されていたほどの水準ではないが、金融緩和政策と会計基準の緩和が「隠れた不良債権問題」を作り出している恐れがあるとの見方を示した。
その上で「民間部門の債務の透明性を一段と高める必要がある」と指摘した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」