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再送:〔焦点〕異次元緩和はやくも副作用、金利乱高下で金融システム不安定化懸念も

*この記事は11日午後9時19分に配信しました。

 [東京 11日 ロイター] 黒田新日銀が打ち出した異次元金融緩和の副作用が早くも露呈しつつある。本来金融緩和は金利を引き下げるはずだがかえって上昇、日銀は11日に東日本大震災直後以来の巨額の資金供給に追い込まれた。市場関係者の間では「2%の物価目標を優先し、金融システムの安定を損なっている」との指摘も聞かれる。

 日銀が4日にマネタリーベースを2倍に膨らます「異次元緩和」を発表して以降、10年債利回りJP10YTN=JBTCは0.315%までいったん下げた後0.630%まで急上昇。2年債利回りJP2YTN=JBTCは0.130%と1年2カ月ぶり水準まで跳ね上がるなど金利は軒並み上昇している。債券先物が乱高下することで売買を一時停止するサーキットブレーカーをたびたび発動され、投資家が現物債を手掛けにくくなったことも金利上昇に拍車をかけている。

 金利上昇の理由として、1)異次元緩和の公表翌日に市場の期待に反して長期国債の買い入れオペ(公開市場操作)が実施されなかったこと、2)日銀が買い入れる国債の平均年限を従来の3年弱から7年前後へと延長したことで、これまで日銀が基金で買い入れていた3年以下を中心に年限の短い国債買い入れが減少するとの思惑が高まったこと、3)当座預金に付く金利(付利)の引き下げが当面必要ないと黒田東彦総裁が述べたこと──などが挙げられる。4)流動性の低い年限10年超の超長期債の買い入れを日銀が従来の月1000億円から8000億円と大幅に増やしたことも、超長期債の運用益減少につながれば生命保険など機関投資家が超長期債購入を手控えかねないとの思惑を通じて金利上昇要因となっている。

   <市場安定化のため震災以来の巨額資金供給>

 黒田東彦総裁は10日の報道各社とのインタビューで金利乱高下について、「新たな均衡点を模索する過程」との見方を示していたが、日銀は11日には市場安定化のため1年物の固定金利オペや短期国債買い入れなど総額4.3兆円と1日の資金供給額としては震災直後の2011年3月23日以来の規模の資金供給を実施した。

 また従来は日本証券業協会の基準気配値が操作されて適正な価格が維持できないとの理由から明らかにしなかった国債購入日の通告に踏み切り、従来は2度に分けて行う予定だった国債買い入れオペを合わせて12日に実施すると公表した。

   <市場参加者との意見交換会、要望殺到>

 同日夕刻には日銀本店で46人の金融機関・機関投資家を対象とした意見交換会を開催。日銀幹部らによると、参加者からは短期国債の買い入れペースや、オペ日程の事前公表の有無、オペ一回当たりの金額を減らし回数を増やす可能性など活発な質問があったという。

 日銀側は、政策の公表文から削られた短期国債の買い入れ額について「従来より減らすことはない」、特定年限の国債の需給ひっ迫要因とされる「国債の年限割り振りについても変更の余地がないか検討する」旨答えたという。

   <黒田日銀、株・為替に過度の焦点>

 市場関係者の間では、急激な金利の乱高下により2013年度に向けた運用計画が狂うなど狼狽する関係者も多く、「日銀はどうみているのか説明を聞きたい」(市場筋)との声が急増している。今日の説明会でも日銀側と参加者の間で厳しいやりとりもあったもよう。長期金利のボラティリティが高い状態が継続すると、「長期国債運用者がいなくなり市場の流動性がなくなり、担当者がいなくなれば市場の復活も難しい」(外資系証券)との悲観的な見方もあり、説明会でもボラティリティ安定化を求める声が出ていたようだ。

 三菱UFJモルガンスタンレー証券の六車治美シニア債券ストラテジストは、「金利安定のためには、1)オペ日程の事前公表、2)翌日物金利など期間の短い金利でなんらかの目途・ガイダンスを復活させるのがよい」と提案している。メガバンク関係者の中からは、「黒田新日銀は2%の物価目標達成のため株と為替に焦点を充てきたが、債券市場の不安定化で物価の安定に並ぶ中央銀行の使命である金融システムの安定を損なっている」との懸念も出始めている。

 (ロイターニュース 竹本能文;編集 内田慎一)

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