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UPDATE1: 消費増税へ「身を燃焼し尽くす覚悟」、日本財政は楽観できない=安住財務相

 [東京 12日 ロイター] 安住淳財務相は12日午後、日本記者クラブで会見し、社会保障と税の一体改革で焦点となる消費税率引き上げについて「身を燃焼し尽くす覚悟で挑む」と決意を示した。日本の財政事情については、国内総生産(GDP)比で200%を超える政府債務残高を「楽観できる状況ではない」と述べ、さらに債務残高が積み上がれば長期金利に影響を与え、「国民生活や経済を直撃する」と危機感を表明。歴史的な水準が続く円高については、今後も投機的な動きや過度な変動に対し為替介入も辞さない姿勢を示した。

 <増税で消費が冷え込むことはない>

 安住財務相は、自民党政権時代の消費税導入や増税の過程における政治の混乱などに言及し、消費増税を「日本政治の屈指の難題」と指摘。その上で、「挑むだけの価値がある政策課題だ」とも述べ、社会保障充実の安定財源として、消費税増税の必要性について「身を燃焼し尽くす覚悟で、国民に胸襟を開いて訴えていく」と語った。

 消費税増税が景気に与える影響については、社会保障の持続性を確保することで、消費者のマインドが改善するとみられることや、増税前の駆け込み需要などを挙げ、「消費が冷え込むことはない」との見解を示した。

 <さらなる債務増加、長期金利に相当の影響>

 日本の財政事情は、政府債務残高が対GDP比で200%を超え、先進国の中でも最悪の状況にあり、「決して楽観できる状況ではない」と強調。さらに債務残高が積み上がれば、「長期金利に相当の影響を与え、国民生活、経済を直撃する」と危機感を示した。世界的に国の財政に対して市場から厳しい視線が向けられているとし、日本についても「(政府が)財政再建にコミットメントし、行動することに世界的に関心が持たれている」と語った。

 <円高、投機的な動きには「さまざまな対応」>

 また、円高傾向が続いている為替市場については「日本経済の実態と為替レートがかい離する時がある」とし、10月末に実施した単独のドル買い/円売り介入時の為替相場は「日本の実体経済に即したレートではない」と述べた。

 その上で、「日本の貿易収支が赤字になり始めていることに危機感を持っている」と述べ、為替レートの変動で企業の利益が吹き飛ぶことがないよう、各国に理解を求めていきたいと指摘。今後も為替市場における「投機的な動きや過度な変動には、さまざまな対応をする」と、為替介入も辞さない考えをあらためて表明した。

 <イラン制裁強化、原油価格に影響を与えないよう対応>

 安住財務相は12日午前には、ガイトナー米財務長官と会談。核開発を進めるイランに対する制裁強化への協力を求められ、イランからの原油輸入量を削減する方針を伝えた。ただ、日本は原油輸入の10%程度をイランに依存しており、「これをゼロにすると(日本経済に)ダメージが大きい」とも述べ、ガイトナー長官に「時間的な猶予が欲しいと申し上げた」ことを明らかにした。

 こうした経済的な影響も踏まえ、今後もイラン制裁の効果と影響について日米間で議論していくと述べ、「原油価格に影響を与えない」対応を模索していく考えを示した。

  (ロイターニュース 伊藤純夫;編集 田中志保)

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