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UPDATE3: 1月貿易収支は過去最大の1兆4750億円の赤字、世界経済減速で=財務省

*エコノミストのコメントを追加しました。 

 [東京 20日 ロイター] 財務省が20日に発表した1月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は1兆4750億円の赤字となった。世界経済の減速や円高の長期化に、中国の春節休暇による特殊要因が加わり輸出が低迷した結果、過去最大の赤字幅を記録した。これまでの最高はリーマン・ショック後の2009年1月の9679億円だった。

 過去最大の赤字幅となったことについて財務省では「春節の影響が出たのは間違いないが、このところの需要の低迷が継続している」(財務省筋)と説明。先行きについて、輸入の増加傾向が当面続くとみられる一方、「輸出動向に注目していきたい。海外景気動向や円高の影響を含め今後の推移を注視していきたい」としている。

 例年1月は正月要因で赤字になりやすいが、今年は中国の旧正月が1月23日からと昨年の2月から1月にずれ込んだことも影響した。赤字は4カ月連続。前年1月は4794億円の赤字で、前年比では207.7%増と赤字幅は3倍に膨らんだ。

 輸出は前年比9.3%減の4兆5102億円、4カ月連続で減少した。半導体等電子部品(15.8%減)、鉱物性燃料(33.5%減)などの減少が響いた。

 為替レート(税関長公示レート平均)は、1ドル77.33円で対前年比6.7%の円高だった。

 <対中輸出は09年8月以来の大幅減、対中国・対EU向け収支は過去最低>

 地域別では、米国向け輸出は前年比0.6%増で、3カ月連続で増加した。

 アジア向け輸出が前年比13.7%減と4カ月連続で減少。減少幅も拡大し、2009年10月(同15.0%減)以来の大幅なマイナスを記録した。この結果、輸出と輸入の差引は3571億円の赤字となった。赤字は36カ月ぶりで、2009年1月の4364億円の赤字に次ぐ過去2番目の大きさだった。

 うち、中国向け輸出は同20.1%減と、2009年8月(同27.6%減)以来の減少幅を記録した。減少は4カ月連続。この結果、輸出と輸入の差引は5879億円の赤字となり、過去最大の赤字となった。これまでの最大は2009年1月の5649億円の赤字。

 財務省では「欧州の需要低迷から、アジアから欧州への輸出低迷が続いている。この結果、日本から中国を含めたアジアへの部材輸出に影響が出ている」(財務省筋)とみており、欧州債務危機を契機とした世界経済減速が影響した。

 一方、欧州連合(EU)向け輸出は前年比7.7%減で4カ月連続で減少した。輸入は同3.5%増で10カ月連続で増加。この結果、輸出と輸入の差引は7億円とわずかに黒字を維持したが、前年比では98.9%減と大幅減となった。黒字額は過去最低で、これまでの最低は2009年1月の268億円の黒字だった。

 <液化天然ガス輸入 金額・数量とも過去最高>

 輸入は同9.8%増の5兆9852億円、25カ月連続で増加した。引き続き、原油価格の高止まりや原子力発電所の稼働停止に伴う代替エネルギー需要増が影響。液化天然ガス(74.3%増)や原粗油(12.7%増)、石炭(26.5%増)の増加幅が大きかった。うち、液化天然ガスの輸入は、金額・数量とも過去最高となった。

 輸入原油単価は前年比15.2%上昇の5万5100円/キロリットル、ドルベースでは同23.5%上昇の113.3ドル/バレルだった。

 ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は1兆4681億円の赤字。輸出は前年比9.5%減、輸入は同9.5%増だった。

 <貿易赤字は構造問題、先行き楽観できないとの声も>

 先行きについて、エコノミストからは「日本の構造的問題を含んでいるため、決して楽観することはできない」(みずほインベスターズ証券・チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏)、「先行きは改善するだろうが赤字は続く」(コスモ証券投資情報部担当課長、田口はるみ氏)などといった声があがっている。

 構造問題を注視するみずほインベスターズ証券の落合氏は「輸出面で円高の影響や日本製品の国際競争力の衰え、企業の海外移転、輸入面で原発停止によるLNG輸入や原油価格の上昇傾向などが挙げられるが、早期解決に難しい要因が多い。赤字拡大を止めるのが精いっぱいかもしれない」と指摘。経常収支については「一時的に赤字になる可能性があるが、所得収支の寄与で恒常的に赤字になる局面までには時間がある」と見通した。

 また、コスモ証券投資情報部の田口氏は「輸出の先行指標とみられているOECD景気先行指数は上向き始めており、輸出は今後、徐々に改善する」と予想する一方で、「イラン情勢をにらみ原油価格の上昇は引き続き見込まれ、輸入は高めで推移するだろう」とし、貿易収支は改善するものの赤字が続くと見込んでいる。

  (ロイターニュース 吉川 裕子)

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