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再送:金融緩和に副作用や限界、商品市況や金融システム安定に配慮必要=白川日銀総裁

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 [ワシントン/東京 26日 ロイター] 白川方明日銀総裁は24日米連邦準備理事会(FRB)がワシントンで開催した会合で講演した。日銀が26日公表した講演要旨によると、総裁は金融緩和を長期間続けることの弊害を指摘。「バブル崩壊後の積極的な金融緩和政策は必要」としつつも、国際商品市況の上昇を引き起こすなど副作用に留意する必要を強調した。

 白川総裁は、中央銀行が長期間金融緩和を続けるとの予想が強まると、金融機関の利回り追求により「金融システムを不安定化させ、ひいては実体経済や物価を不安定にする」と警告。バブルが発生しても物価安定を理由に中銀が引き締めに踏み切らず、バブル崩壊後には利下げを行う場合、「バブル崩壊後のショックも大きくなる」ため「事態はより悪化する」と警鐘を鳴らした。「バブル崩壊後の積極的な金融緩和政策はもちろん必要だが、副作用や限界についても意識する必要がある」と強調した。

 金融緩和の効果は「バランスシート修復に伴う痛みの緩和剤でしかない」とし、長期に続けると追加的に引き出せる需要は徐々に減少すると説明した。政府の過剰政務を削減するインセンティブにも悪影響を与える可能性を懸念。この結果、「政府債務の水準が持続可能でないとみられるようになると、欧州債務問題が示すように、物価安定と金融システム安定を脅かすことになる」と指摘した。

 金融緩和の副作用として、低採算の投資案件に資金が流れれば資源配分が非効率になり「経済全体の生産性に影響を与え潜在成長率を下押しする」と分析した。緩和が「ある臨界点を超えると、逆に利鞘の低下をもたらし金融仲介機能も弱まり得る」と指摘。自国経済がバランスシート調整下にある場合、金融緩和は自国の経済に効果を及ぼさず「新興国の景気拡大や国際商品市況の上昇につながりやすい」とした。

 このため、中央銀行が「石油製品や食料品を除くコア・インフレを重視して政策運営すると、国際商品市況がますます不安定化する可能性もある」と指摘。原油など商品市況の上昇は自国経済に跳ねかえるため、「国際的波及と自国経済へのフィードバック効果を考慮に入れることも重要」とした。

 日銀が2月に導入したインフレ目標政策については、「特定の物価上昇率水準の達成について中央銀行に説明責任を負わせることは、比較的わかりやすい」と評価。その一方で、物価のみならずバブル発生の把握など金融システム全体に目配せする必要性を強調し、ただし、そのような金融政策運営は「一般にはかなり分かりにくく、サイエンスというよりアートの側面が強い」とし、「そうした政策運営のスタイルが民主主義社会においてどの程度受け入れられていくかが今後試される」と述べた。

 なお、白川総裁は講演の冒頭で、バブル崩壊後の日本の低成長が「大胆な政策を日銀が迅速に実行しなかったためだ」と片づけられることが多かったと指摘。住宅バブル崩壊後に日米の採った政策が似ている点を挙げ、日銀がゼロ金利政策や量的緩和政策、時間軸などを打ち出した際「同じような政策を数年後にFRBが採用することになるなどとは私自身、想像もしていなかった」と述べた。

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