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再送:〔BOJウオッチャー〕国債買い入れ中心の追加緩和期待、白川総裁がけん制

*この記事は4日午後7時44分に送信しました。

 [東京 4日 ロイター] 白川方明総裁は4日、都内で講演し、「最適なスピードを超えてアグレッシブに国債買い入れを行うと、金利が反転上昇することも起こり得る」と国債買い入れの副作用に言及、市場の追加緩和期待をけん制した。日銀は2月、4月の追加緩和に際し、回復しつつある国内景気を後押しする形で金融緩和を進める姿勢を示していたものの、その後微妙に変化していた発信のトーンが、より明確になった可能性がある。

  <4月緩和後、微妙に変化する政策発信>

 今年2月に日銀が「バレンタイン緩和」で事実上のインフレ目標の導入と追加緩和を表明した後、急速な円安・株高が進んだ。しかし白川総裁は4日の講演で「2月から3月前半にかけての円高修正は、欧州債務問題の改善に伴うリスク回避の姿勢の後退を反映」と総括。金融緩和の効果について触れなかった。また、来年6月末までに基金の残高が現在の51兆円から目標の70兆円に到達するまで「毎月金融緩和を強化しているという素朴な事実が忘れられがち」と指摘、基金の残高目標を引き上げる形での追加緩和期待をけん制した。

 日銀は2月、4月と立て続けに追加緩和に踏み切り、回復しつつある国内景気を後押しする形で金融緩和を進める姿勢を示していた。しかしその後は、総裁自身が金融緩和の効果を図るのは「量でなく金利」(24日の国会発言)と強調。山口広秀日銀副総裁も日経新聞とのインタビューで「4月の追加緩和を実行することで1%の物価上昇率は見通せる」と発言するなど、政策に関する発信が微妙に変化、市場でも「少なくとも6月の追加緩和の可能性は少ない」(SMBC日興証券債券ストラテジストの岩下真理氏)との声が出ている。

  <過度の金利低下と反転リスク警戒か>

 日銀内では2月のインフレ目標導入で緩和姿勢を強化した事実はなく、最近になり緩和姿勢が後退したわけでもないとの見方も聞かれる。一方、2月と4月の度重なる追加緩和により、1)長期金利の過度の低下、2)市場の過剰な追加緩和期待、3)日銀が財政不足を肩代わりする財政ファイナンスを行っているとの懸念が広まり長期金利が反転するリスク──などに対する懸念も静かに広がりつつあるもよう。長期金利を過剰に引き下げることで金融機関の収益機会を奪うリスクも一部では以前よりも意識されつつあるようだ。

 ただ、欧州債務問題は台風の目が小国ギリシャから域内大国のスペインに移ることで、世界金融市場は再度緊迫局面に入りつつある。1日の雇用統計を受け米国景気回復懸念もはく落の気配があり、円高・株安の更なる急進リスクが取沙汰されつつある。毎月緩和を強化している、との日銀の説明に対しては「金利は毎月下がるのだろうか」(JPモルガン証券のシニアエコノミスト、足立正道氏)との異論も出ており、市場への説得力は未知数だ。市場での安心感を醸成するために日銀がどのような政策姿勢を示していくか注目される。

  (ロイターニュース 竹本能文:編集 石田仁志)

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