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〔アングル〕アコーディア<2131.T>の委任状争奪は激化、経営統合へ発展の可能性はらむ

 [東京 19日 ロイター] 今月末の株主総会シーズンを前に、アコーディア・ゴルフ2131.Tに対する注目度が増している。同社の役員選任をめぐって、平和6412.Tの100%子会社で、アコーディア株の1.8%を保有しているオリンピア(東京都台東区)が中心となって作っている「株主委員会」が、独自の役員候補を株主提案しているためだ。攻める平和グループに対して、守るアコーディアという対立軸が際立つ中、将来の経営統合に発展する可能性もはらみつつ、水面下で委任状争奪戦(プロキシーファイト)が激化している。

 <株主提案、アコーディアの膿を出すことが狙い>

 攻勢する側のオリンピアらで構成する「株主委員会」は、取締役候補として日野正晴・元金融庁長官や才口千晴・元最高裁判所判事らを提案した。いずれもコンプライアンス(法令遵守)の専門家だ。提案の狙いについて、オリンピアの兼次民喜社長はロイターの取材に「アコーディアの膿を出し切ること」と主張する。

 オリンピアなどが問題にしているのは、アコーディアのコンプライアンス問題だ。今春明らかになった竹生道臣社長(当時)による会社経費の私的流用疑惑がきっかけとなった。現在までに、オリンピアなどの指摘を踏まえるかたちで竹生社長は社長を辞任し、今度の株主総会で全役職から退く方針を発表している。

 だが、オリンピア側は、それでも矛を収める気配はない。兼次社長は「業績の割には株価が低い。理由は、信用を失っている点にある。疑惑を一掃することが株価回復につながる」と述べ、竹生前社長の問題以外でもささやかれる疑惑に対して新経営陣の下で徹底的な調査を行い、信用力の回復、株価の回復に努めることが必要としている。

 <アコーディア、経営統合を有利に進めるためとみて反発>

 一方で、オリンピアの真の狙いは「アコーディアの買収」(銀行幹部)と読む関係者も多い。オリンピアの親会社である平和は、アコーディアを追走する業界第2位ゴルフ場運営会社、PGMホールディングス2466.Tの株式80%を保有している。アコーディアはもともと米系のゴールドマン・サックス(GS)の傘下で、PGMは米系ファンドのローン・スター傘下だった。両社は、それぞれ破たんしたゴルフ場を買収することで規模拡大を果たすなど、ライバル意識は強い。

 アコーディアもオリンピアなどの株主提案の背景には、PGMとの経営統合を有利に進めようという思惑があると見て反発を強めている。アコーディアの鎌田隆介社長は「アコーディアに約9億円の投資をしているにすぎないオリンピアが、何故、巨額なコストをかけて株主提案をしているのか。オリンピアは同じ平和グループのPGMと経営統合を有利に進めるための役割を果たそうとしているに過ぎない」と指摘する。アコーディアの株価が下落することで、PGM側の経営統合比率算定が有利になる可能性があるとの見方だ。

 <PGM、コンプライアンス是正されれば統合再申し入れも>

 ゴルフ人口が減少する中でゴルフ場は減っておらず、業界は供給過剰に悩まされている。全国のゴルフ場は現在約2400あり、両社が一緒になるとシェアは約10%超を占め、圧倒的なトップ企業となる。業界関係者によると、過当競争によりプレイ料金は下落傾向を続けており、ゴルフ場の質を維持するにも、すでに価格下落は限界だ。

 こうした状況下で、業界首位を争う2社の攻防は、再編への期待も内包していることは事実だ。PGMの神田有宏社長は、ロイターの取材に対し「一緒になることで価格下落圧力が減衰し、その分をゴルフ場の質の向上、サービスの向上に振り向けることも可能になる」と話す。オリンピアの兼次社長も「一般的に言えば、2つが1つになればコストは安くなるし、数十億円単位のシナジーが期待できる」とメリットを認めている。

 実際、今年1月には、PGMの神田社長が取締役会を通さない形ではあるが、アコーディアに対して統合提案をしていたことも明らかになっている。アコーディアのコンプライアンス問題を受けて、現在、統合提案は『凍結』中だが、神田社長は「経営統合の前哨戦と言われてもしょうがない。両社がフレンドリーに経営統合すればシナジーはある。(不透明な問題がこれ以上出てこないことが明確になった後には)当然、もう一回、統合の申し入れをしたい」と明言する。

 神田社長は、GS出身。GSがゴルフ場運営会社として設立したアコーディアの取締役に2002年2月に就任したが、今年1月には、ライバル会社だったPGM社長に転じたばかりだ。GS時代から、両社の経営統合には前向きな考え方を持っていたという。

 PGMとオリンピアの親会社である平和は「今回の株主委員会の件には一切関係ない。子会社なので随時報告は受けており状況は分かっているが、関与はしていない」(広報担当者)としている。

 <敵対的買収は困難>

 ただ、経営統合は、机上で描くほど簡単には進みそうもない。

 委任状争奪戦で、アコーディア側に軍配が上がった場合、PGMがアコーディアに対して敵対的TOBを仕掛けるのは難しいとみられる。オリンピア側が、コンプライアンス問題やガバナンスの欠如を焦点としている以上、アコーディア内部の問題にメスが入らない限り、買収に動くことは説明がつかないからだ。神田社長も「拙速には動けない」と慎重な姿勢を示す。また、オリンピアの兼次社長は「保有株式は売却せず、大株主として戦い続ける」と表明しており、両社の攻防は長期化する可能性がある。

 アコーディアの株主のうち、個人株主は約5万人。株主委員会側は18日現在、1万通を超える委任状を獲得したとしている。一方、会社側は「感触は良い」(広報)としつつも、足元の状況については明らかにしていない。

 アコーディアによると、株主構成は、国内機関投資家が約40%、海外投資家が30%、個人投資家が30%となっている。このうち、オリンピアの石原昌幸会長が3.1%、オリンピアが1.8%、オリンピアを含む株主委員会が約2%の保有となっている。

 アコーディアの株主総会は、28日に予定されている。

 (ロイターニュース 清水律子)

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