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UPDATE3: 貿易収支、5月として過去最大の赤字 原油価格低下の影響にはタイムラグ

 [東京 20日 ロイター] 財務省が20日に発表した5月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は9073億円の赤字となった。赤字は3カ月連続。前年比では5.4%増で、赤字幅は拡大。5月としては過去最大の赤字となった。1979年1月の統計開始以来でも、過去3番目の赤字幅を記録した。

 赤字幅は市場の予測を大幅に上回った。エコノミストの間では、原粗油価格の低下で、輸入額の増加が大幅に減少するとの見方が多かったが、価格低下が輸入金額に反映されるまでにタイムラグがあるため、5月の輸入金額には反映されなかった。

 <輸出は2010年12月以来の2ケタ増、震災の反動増>

 輸出は前年比10.0%増の5兆2347億円で、3カ月連続で増加した。伸び率は2010年12月(同12.9%増)以来の高い伸びとなった。東日本大震災の影響で大きく落ち込んだ前年の反動増に加え、大型連休で生産が停滞し輸出が低調になる季節性も影響した。

 品目別では自動車(87.4%増)、自動車部分品(46.1%増)などが増加する一方、船舶(20.3%減)が減少した。

 輸出は2ケタの高い伸びを示したが、財務省では「輸出回復基調とは確たることは言えない」(財務省筋)とし、海外景気の下振れリスク、堅調な自動車輸出動向、緩やかな回復をみせている米国経済に注視する必要があるとしている。

 為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル80.43円で対前年比1.3%の円高だった。

 <EU向けは初の貿易赤字>

 地域別では、米国向け輸出が前年比38.2%増と、引き続き高い伸びを記録した。増加は7カ月連続。

 中国向け輸出は同3.0%増で8カ月ぶりに増加した。財務省では、欧州経済停滞によるアジア経済減速の影響は続いているが、需要増を反映した自動車・自動車部品輸出が押し上げに寄与した。

 一方、欧州連合(EU)向け輸出は前年比0.9%減で、8カ月連続で減少した。対EUでは、輸出が減少する一方で、輸入が2カ月ぶりに増加し、1979年1月の統計開始以来、初の貿易赤字となった。赤字額は111億円。

 <輸入は29カ月連続で増加、輸入原油価格は小幅上昇> 

 輸入は同9.3%増の6兆1420億円、29カ月連続で増加した。鉱物性燃料価格の高止まりと原子力発電所停止に伴う火力発電用液化天然ガスの需要増が引き続き増加に寄与した。増加品目は、液化天然ガス(44.3%増)や原粗油(10.9%増)、石油製品(29.7%増)など。

 事前のエコノミスト予想では、原油価格の低下で輸入の増加幅が大幅縮小すると見込んでいた。しかし、輸入原油単価は円ベース、ドルベースでも小幅上昇。輸入原油単価は前年比3.6%上昇の6万3004円/キロリットル、ドルベースでは同5.0%上昇の124.5ドル/バレルだった。

 財務省では、「日本の原油輸入単価は中東産の割合が高く、ドバイ価格に連動する。その連動は1カ月以上ズレる傾向がある」と説明。先行きについて「火力発電用燃料の需要増は今後も続く可能性があるが、足元の原油市場価格は低下しており、鉱物性燃料の輸入額への影響は考えられる」(財務省筋)とみており、6月以降、燃料価格の低下が輸入金額ベースの押し下げ要因となるもよう。

 ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は5611億円の赤字。輸出は前年比9.3%増、輸入は同2.9%増だった。

 <市場では当面貿易赤字が続く公算との見方、輸入の構造変化に注視の声も>

 岩井コスモ証券投資調査部のエコノミスト、田口はるみ氏は貿易収支について、赤字額は予想外に大きかったと指摘。そのうえで「輸入は予想よりも強かった印象だ。やはり燃料輸入の影響が大きい。原発が稼働し始めたこともあり、若干(燃料輸入の面で)緩んでくる可能性はあるが、引き続き輸入に頼る状況は続くと考えられ、当面は貿易赤字が続く可能性が高い」としている。

 また、三井住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は、予想外の赤字の背景となった輸入動向の「構造変化」に注意する必要があるとしている。同氏は、自動車・航空機といった輸送機器関連や電気機器類、通信関係など、エネルギー以外の品目でも輸入の幅が伸びている、と指摘。「これが一時的なもので終わればいいが、円高の影響から、これまで日本が得意としていたものが海外からの輸入にシフトしていっている可能性もある。輸入の構造変化が起きていないか、これから注視していかないといけない」としている。

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