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〔アングル〕iPhone5で「LTE」競争に火ぶた、ドコモの苦戦に拍車も

 [東京 14日 ロイター] 米アップルAAPL.Oの「iPhone(アイフォーン)5」の発売と同時にソフトバンク9984.TとKDDI9433.Tが高速通信「LTE」に参入することで、日本の通信業界は第4世代(4G)携帯電話の競争に本格的に突入する。先行していたNTTドコモ9437.Tはアイフォーンなしの戦いが続く上、LTEでも2社に差を縮められ、一段と厳しい競争を強いられそうだ。

 <LTE料金、2社ともドコモがベンチマーク>

 ソフトバンクとKDDIは14日、アイフォーン5の発売と同時に開始するLTEでの正規のデータ通信料を月5985円に設定すると発表。2010年12月にサービスを始めたドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」の月額料金5985円をそのまま採用した。

 3社とも、現行の3Gのスマートフォン(多機能携帯電話)のデータ通信料よりも高く設定。ユーザーにとっては「実質値上げ」となるが、音声収入が減少する中、データ通信料は貴重な収入源で、次世代回線への移行を機会にARPU(1人あたり通信料)拡大の足掛かりを得たことになる。

 さらにLTEの料金には、大量のデータを利用するユーザーに多くの課金をする「従量制」の体系を仕込んだ。ソフトバンクとKDDIは、LTEでのデータ通信の利用の上限を7ギガバイト(GB)とし、ここから2GBごとに2625円を追加する。これもドコモが採用しているLTEの料金体系と同じ仕組みを導入した。

 そもそも3Gのデータ通信料は、「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話のデータ通信の「定額制」を引き継いだため、スマホによる動画や音楽の配信など爆発的なデータの増加を想定していない。通信各社は厳しいスマホ販売競争にさらされ、「値上げ」を意味する従量制への変更に踏み切れずにいたが、LTEについては最初からこの料金体系を導入。データ利用の多いユーザーには、より多くの通信料を課せるようにした。

 <データ通信料の値崩れも>

 だが、LTEの導入だけで料金収入の増加につながるとは限らない。早くもソフトバンクとKDDIは、アイフォーン用の特別価格として月額5460円を設定した。ソフトバンクにとっては現行の3G対応のアイフォーン料金4410円よりは高いが、KDDIは現行3Gのデータ通信料と同水準。

 それだけでなくドコモは、LTEのデータ上限を3GBに引き下げた月4935円のプランを10月から開始することを発表済み。データ利用の少ないユーザーの負担を軽減するのが表向きの狙いだが、「実質値下げ」に先手を打った格好だ。ドコモによると、LTEユーザーの8割が3GBまでの利用。このため「LTEの料金プランは実質的に3GB上限のプランがメーンになり得る」(ドコモ関係者)という。

 ソフトバンク、KDDIとも、現行の3Gのデータ料金以下の領域に踏み込むことは見送ったものの、今後のLTE競争でドコモの「4935円」の料金に支持が集まるなら、対抗策を打って出る場面もありそうだ。市場からは「ソフトバンク、KDDIがドコモの下限(4935円)に合せていたら料金競争に陥っていた」(SMBC日興証券の森行眞司アナリスト)との声もあるが、LTE時代で料金競争に火がつけば、巨額の設備投資で整備したLTEを導入しても、通信会社の収入増にはつながらない恐れがある。

 <戦略問われるドコモ>

 ドコモはエリアカバー率でもKDDIにすぐに追い上げられる。ドコモは10年12月のLTE導入以来、着々とエリアを広げ、「Xi」のカバー率は12年度に約70%、14年度末に98%を見込む。一方、KDDIは12年度末にLTEの人口カバー率96%を計画し、当初から一気に全国展開を進めようとしている。KDDIの石川雄三専務は14日、「既存の基地局にLTE用を併設するので進めやすい」と説明。今年の秋から冬にかけて発売するスマホについても「100%とは言いづらいが、ほとんどすべてLTE対応にする」と意気込んだ。

 また、ドコモはアイフォーンの導入については依然として否定的。加藤薫社長は「条件が整わない」として現状では難しいとの見解を繰り返し表明している。当面、アイフォーンのないままの戦いを強いられる。

 月間純増数で首位を独走するソフトバンクに続き、KDDIは昨年10月のアイフォーン販売を機に2位に浮上。純増数を公表していないイー・モバイルを除き、ドコモは「実質最下位」に転落する順位が定着しつつある。通信会社を変更しても同じ電話番号が使える番号持ち運び制度(MNP)では、ソフトバンクが07年4月から今年8月まで5年以上連続で転入が転出を上回っており、KDDIも昨年9月から12カ月連続で転入が超過している。これに対してドコモは09年2月から3年半以上も流出が流入を上回る状態で、アイフォーン販売の2社に対して「1人負け」が続いている。

 (ロイターニュース 村井令二 白木真紀 編集 久保信博)

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