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〔焦点〕中国の成長リスク、財政出動の必要性を示唆

 ◎中国、最大手行の預金準備率を20.0%に0.5%ポイント引き下げ

 ◎4月の貿易、鉱工業生産、固定資産投資は低迷

 ◎バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、中国の第2・四半期成長率見通しを7.6%、2012年見通しを8%に下方修正

 ◎アナリストは金融政策の追加緩和に加え、財政出動を予想

 [北京 13日 ロイター] 中国が国内外需要の予期せぬ減退によって成長率をこれ以上低下させないためには、財政面からのバックアップ措置が必要との見方が強まっている。金融面では昨年第4・四半期から緩和方向に舵を切っているものの、成長鈍化に対処するには不十分だったことが鮮明になってきているからだ。

 中国人民銀行(中央銀行)は12日、商業銀行の預金準備率を0.5%ポイント引き下げると発表した。政策スタンスを成長重視型に転換した昨年秋以来、人民銀は各0.5%ポイントの預金準備率引き下げを2回実施しており、今回が3度目の引き下げとなる。今回の措置により、商業銀行の与信力は4000億元(635億ドル)拡大すると推定されている。

 先週末11日に発表された中国の経済指標では、3年ぶり低成長となった第1・四半期から中国経済が回復するどころかさらに弱含んでいることが分かった。鉱工業生産は伸び率が大きく鈍化し、成長の主要なけん引役である固定資産投資の伸び率もここ10年近くで最低水準となり、第2・四半期に景気回復の兆しを見込んでいたエコノミストの予想を覆した。

 野村(香港)の中国担当主任エコノミスト、Zhiwei Zhang氏はロイターに「政策緩和が不十分なリスクがある。財政出動をすぐにも加速させなければ、国内総生産(GDP)成長率は第2・四半期に8%を下回る恐れがある」と指摘。「今注視すべき決定的要因は財政政策だ。今後数週間以内にこの面での追加政策措置が発表されると予想している。中国の温家宝首相は4月13日に『成長率が一段と鈍化した場合に備えたバックアップ計画を準備する必要がある』と語っていた。成長率が実際にさらに鈍化したのだから、今がバックアップ計画を発動すべきときだ」と話した。

 4月13日に中国国家統計局が発表した第1・四半期のGDPは前年比8.1%増と、過去約3年で最低の伸びにとどまった。

 その前日に発表された3月のマネーサプライ統計で、人民元建て新規融資が2011年1月以来初めて1兆元を上回り、2012年の通年の成長率に対する弱気な見通しが一斉に引き上げられたこともあり、その時点では、Zhang氏を含む多くのエコノミストが中国経済は底入れすると考えていた。

 しかし、対照的に先週は、UBSとバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが指標発表後数時間もしないうちに成長率見通しの引き下げに踏み切り、7.5%の公式目標ではなく、中国政府の実際の目標とみなされている8%前後の成長率達成のためには政策行動が必要、との見方を示した。

 <迅速かつ潤沢な財政支出>

 インフラや住宅に対する迅速かつ潤沢な財政支出や一段の法人税制優遇措置、個人消費促進策などが中国政府に求められている典型的な追加措置だ。

 これに加え、景気を軌道に乗せておくため、下半期には1%ポイント分の預金準備率引き下げが実施されると既に予想されている。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(香港)の中国担当エコノミスト、Ting Lu氏は先週末11日に発表された一連の指標により、8.5%とみていた第2・四半期GDP伸び率予想が無効になったとして、「われわれは間違っていたため、成長率見通しを下方修正する」という極めて単刀直入な見出しの電子メールを顧客宛てに送付した。

 同氏は現在、第2・四半期の成長率を7.6%と予想している。今年通年の成長率も従来予想の8.6%から8%に引き下げた。11日の指標発表前にロイターが集計した通年の成長率に関するエコノミスト予想のコンセンサスは8.4%となっていた。

 これまでに発表された4月の統計がなぜこれほど市場予想と乖離したのか、Lu氏は理解しかねており、工業部門総付加価値の9割を占める中国の大手メーカー70万社に対し、地方自治体を通さず北京の国家統計局に直接数値を提出するよう求める報告システムの変更が根本的原因ではないかと考えている。

 低迷の背景がどうであれ、中国政府は危機を防ぐため、手を打つ必要があるというのが今や統一された見解となっている。

 とりわけ中国税関当局が10日発表した4月の貿易統計で輸出の前年比伸び率が予想の半分程度にとどまり、輸入も名目ベースで急ブレーキがかかったため、関心は中国製品に対する海外需要に左右される中国の実体経済に向けられている。

 ソシエテ・ジェネラル(香港)の中国担当エコノミスト、Yao Wei氏はロイターに対し、「4月のデータは第1・四半期が底ではないとのわれわれの見方を確認した。基調はどちらかと言えば、われわれが7.8%の第2・四半期GDP成長率を予想する上で織り込んでいるより、若干悪いようだ」と語った。

 同氏はインフラ投資加速、不動産投機抑制措置の緩和、関税削減・消費促進パッケージ導入の3つの政策措置を予想している。

 <信用需要が鍵>

 中国政府は2008─09年の世界的金融危機を受けて、4兆元(6350億ドル)に上る大型景気対策を導入した。結果、景気は浮揚したがインフレも高進し、不動産投機の引き金ともなって、政府はその是正に2年間を費やした。今回の中国政府の財政面での対応がどのようなものになるにしても、こうした大型対策を予想する向きは少ない。

 一方、金融政策の追加緩和は、単に資金を利用できるようにするだけでなく、信用の需要を喚起させる必要があるだろう。中国の商業銀行は第2・四半期に政府が目指す融資上限とされる2兆4000億元を達成するため、5月と6月はともに約8500億元を貸し出さねばならない。

 月間ベースの新規融資が8000億元を達成したのは2004年以降で8回あり、うち5回は中国政府が4兆元の景気対策を実施中だった。

 そのためアナリストの多くは、2011年の税収が過去最高になるなど政府の資金が潤沢で、財政赤字目標も対GDP比1.5%と低水準なことを考慮すれば、財政面での対応が打ち出される可能性が高いとみている。

 また、年末にかけて指導部の交代があることを考えれば、共産党指導部が中国経済のソフトランディングと新指導部への円滑な交代に向けてあらゆる手を尽くすと確信している。

 HSBCのアナリストは顧客宛てノートで「今後数カ月は、迅速かつ強力な政策刺激策が中国の成長安定化の鍵となる。一段と大胆な緩和政策が実施される可能性が高まっている」と指摘。「内容の弱い4月の統計を受けて直ちに預金準備率を引き下げたことは、中国政府の積極的な対応姿勢を示している。今後数カ月間に、量的緩和や大規模な税制優遇措置、財政支出、投資規制緩和を通じた、より積極的な刺激策が実施されるだろう」と予想した。

 *関連グラフは以下をご覧下さい。

  中国経済、貿易、生産:  link.reuters.com/fut96s

  中国鉱工業生産:     link.reuters.com/cem28s

 (Nick Edwards記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 宮崎亜巳)

※(sakiko.seki@thomsonreuters.com; 03-6441-1863;sakiko.seki.reuters.com@thomsonreuters.net)

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