◎ムーディーズ、イタリア国債格付けを2段階引き下げ
◎市場での資金調達環境悪化すればさらに格下げと警告
◎13日の国債入札に悪影響
[13日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、イタリア国債の格付けを「A3」から「Baa2」に2段階引き下げた。格付けの見通しはネガティブ。
ムーディーズの発表が伝わった日本時間13日朝方の外為市場では、ユーロ/ドルEUR=が下落した。
「Baa2」は、スタンダード&プアーズ(S&P)やフィッチ・レーティングスの格付けよりも低い。
ムーディーズは、格下げした理由として、ギリシャのユーロ圏離脱や、スペインの追加支援要請など、政治的イベントリスクに対する脆弱性の強まりを挙げた。
「イタリア経済の見通しが一段と悪化したり、改革の実行が困難になれば、同国債をさらに格下げする可能性がある」と警告し、「債券市場へのアクセスが一段と難しくなり、外部の支援を要請する事態となれば、ソブリン格付けを大幅に下げる可能性がある」と述べた。
<最悪のタイミング>
13日に国債入札を実施するイタリア政府にとって、このタイミングでの格下げは打撃だ。イタリア政府は13日、3年債などの中・長期債の入札を実施し、最大52億5000万ユーロ(64億ドル)の発行を目指している。スペイン銀行支援をめぐる不透明感がやや後退し、発行利回りは低下するとの観測が出ていたが、ムーディーズのニュースが冷や水を差した。
AMPキャピタル・マーケッツ(シドニー)のチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「(ムーディーズの格下げは)おそらく今夜、イタリア債券利回りを押し上げる要因にとなり、欧州をめぐる懸念を強めるのではないかと思う」と述べた。
実際、ムーディーズは、イタリア経済がユーロ圏危機による打撃を受け、その結果資金調達環境が悪化すれば、それも格下げ圧力になると指摘している。ただその一方で、経済や財政の展望が明るくなるような経済改革や財政措置をきちんと実行できれば、格付けにとってプラスと指摘。格付け見通しを安定的に引き上げる可能性があるとしている。
ムーディーズは今回、イタリアの企業などの債務格付けの上限であるカントリーシーリングを「Aaa」から「A2」に引き下げた。2012年は2%のマイナス成長と予想している。