[北京 22日 ロイター] 中国国家統計局が22日発表した第3・四半期の国内総
生産(GDP)伸び率は前年同期比8.9%となり、第2・四半期の同7.9%から加速
した。エコノミスト予想も同8.9%だった。
輸出の落ち込みを補って余りあるほど投資と銀行融資が大幅に伸びた。
国泰君安証券(上海)のアナリストは今回のGDP統計について「良好な数字だ。経済
成長率は非常に急速に回復している。通年では間違いなく8%に達するだろう」と述べた
。
エコノミストによると、前期比での伸び率は、政府の大規模な景気刺激策に支援された
第2・四半期の年率換算14.9%から鈍化した。
ただ、1─9月のGDP伸び率が前年同期比7.7%となったことで、エコノミストは
09年通年で8%という政府目標は簡単に達成されるとみている。この目標は、世界の金
融システムが混乱していた今年初めには非現実的とみられていた。
大半のエコノミストは、2010年のGDPについて、比較対象となる09年が比較的
低い伸びになりそうなこと、純輸出の部分的回復の可能性、現在実施されている景気刺激
策を踏まえ、力強い伸びになると見込んでいる。
18日に発表されたロイター調査の結果によると、2010年のGDP伸び率の予想中
央値は9.0%だった。ただ、一部の銀行はこれよりも高い見通しを示している。
INGは伸び率予測を9.8%から11.0%に、マッコーリーは8.9%から
10.3%に、ドイツ銀行は8.3%から9.0%に引き上げた。
欧米がリセッション(景気後退)から脱却しながらも多額の負債を抱えて消費が圧迫さ
れるなか、世界の当局者は、世界経済を拡大させる上で中国の役割が一段と大きくなると
みている。
きょう発表された統計は、まさにそれを示す内容だった。
これまで中国の2ケタのGDP成長率をけん引してきた都市部固定資産投資は、1─9
月は前年比33.3%増加し、1─8月の同33.0%増から伸びが加速した。
上期の投資は圧倒的に政府主導によるものだったが、現在は民間の不動産ディベロッパ
ーによる投資が、融資の受けやすさと景気への信頼感の高まりに対応して急増している。
9月の小売売上高は前年比15.5%増となり、これも8月の同15.4%増から伸び
が加速した。
市場予想は1─9月都市部固定資産投資が33.0%増、9月小売売上高が15.5%
増だった。
9月の鉱工業生産は前年比13.9%増で8月の13.3%増から伸びが加速、予測中
央値の13.3%増を上回った。
一方、景気は上向いたものの、中国経済が依然デフレから抜け出せていない状況も示さ
れた。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.8%低下、生産者物価指数
(PPI)は同7.0%低下し、それぞれ市場予想と一致した。
ただ、CPIとPPIともに前月比では着実に上昇しており、エコノミストはCPIは
09年末までに再び前年比でプラスに転じるとみている。
詳細は、以下の通り。
(単位:%、前年比、~はN/A)
Q1-Q3 Q309 Q209 Q109 Q408 Q308 Q208
GDP 7.7 8.9 7.9 6.1 6.8 9.0 10.1
Q1-Q3 9月 9月予想 8月
消費者物価指数 -1.1 -0.8 -0.8 -1.2
生産者物価指数 -6.5 -7.0 -7.0 -7.9
都市部固定資産投資* 33.3 ~ 33.0 33.0
総固定資産投資 33.4 ~ ~ ~
鉱工業生産 8.7 13.9 13.3 12.3
小売売上高 15.1 15.5 15.5 15.4
*都市部固定資産投資は年初来の数値。
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