<東京市場 28日>
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日経平均 |国債先物3月限 | 国債289回債 |ドル/円(13:30) |
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13274.93円 | 137.92円 | 1.420% | 106.23/26円 |
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-354.23円 | +0.56円 | -0.055% | 106.76/81円 |
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注:日経平均、国債先物は前引け、現物の価格は午前11時の値。
下段は前営業日終値比。為替は前営業日NY終盤。
[東京 28日 ロイター] 28日の東京市場は株安・債券高。前週末の米株安を受
けて海外ファンド勢の解約売りや短期筋の利食い売りが指摘されている。同時に、株式市
場のセンチメント悪化の背景として仏銀行大手ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)
SOGN.PAの元トレーダーによる不正取引の後遺症を懸念する声も出ている。不正取引に
関連したポジション解消をめぐる思惑にとどまらず、金融機関のリスク管理強化で株式ポ
ジションの手仕舞いの動きを予想する声まで出ている。
<売り方の正体>
株式市場では日経平均.N225が大幅安となり、下げ幅は400円を超えている。25
日の米国株式市場が軟調だったことから売りが先行した。市場のムードを悪化させたのは
前場中ごろに出た海外勢の大口バスケット売りだ。「北米系、欧州系など様々な観測が
出ている。ファンドの解約ではないかとの見方もあり、短期筋が先物売りを仕掛けて下げ
が拡大した」(準大手証券トレーダー)という。昼にも大口の売りが観測され、午後の地
合いを一段と冷やした。
売り方に関しては、日経平均が直近3営業日で安値から約1000円の反発を記録して
いることもあり、「安値で買った海外短期資金の利益確定売りではないか。継続的な売り
にはならない」(外資系証券)との見方も出ている。
神経質な相場展開が続いているだけに、売り方の動きに関心が集まっている。
<株ポジション解消リスク>
ソジェンの不正取引問題が市場の動揺を増幅させている面もある。同行は27日、元ト
レーダーの不正取引のポジションが500億ユーロ(733億ドル)に達していたことを
明らかにした。元トレーダーが行っていたのはユーロSTOXX先物、独DAX先物、英
FTSE先物取引。
市場では「ソジェンの株ポジション解消の動きがまだ残っているのではないか」(邦
銀)との疑念が根強い。さらに、欧州の株式先物だけではなく、株式のポジションが広範
囲に解消されるリスクがある、との見方もある。
ある金融機関の関係者は「ソジェンの不正取引問題をきっかけに、欧米の投資銀行は資
産担保証券(ABS)だけではなく株取引を含めたリスク管理の厳格化を打ち出す可能性
がある」と話す。事実、フランクフルター・アルゲマイネ紙日曜版によると、ソジェンの
問題を受けてドイツ銀行DBKGn.DEが自社リスク管理システムを見直している、という。
同紙によると、アッカーマン最高経営責任者(CEO)は同行にもこの種の問題が起きる
可能性があるとして、リスク管理部門に対し管理体制の見直しを命じたという。
<決算で容赦ない売り>
東京市場固有の動きをみても、きょうから本格化する国内の企業決算を控えて市場参加
者は見送り姿勢だ。買い注文が少ないため、まとまった売りが出ると下げやすい。東海東
京調査センターシニアマーケットアナリストの矢野正義氏は、「決算発表に対し市場の評
価が辛めに出ていることが市場のムードを悪くしている」という。企業業績や今後の見通
しが厳しい結果になるというのは株価下落過程ですでに織り込んだとの見方もあったが、
「売りが予想以上にきつい。格下げなどがあったとは言え、比較的好業績の日立建機
6305.Tが大きく売られるのを見ると、わずかでも市場予想を下回った銘柄は容赦なく売
られるのではないかという不安感が出てしまう」と話している。
<リスク回避で債券買い/円買い>
株安を受けて、円債市場は大幅反発。国債先物中心限月3月限は、海外勢の買いを巻き
込みながら138円を回復した。現物市場では中長期ゾーンを中心に年金勢や公的などの
国内勢から買いが入った。「受け渡しベースで月内最終売買日を迎えてインデックスプレ
ーヤーの買いが入りやすい」(外資系証券)という。
前週後半からの株高が3日と続かなかったことで株式市場の不安心理がそう簡単には払
しょくできないことが印象付けられた、との声が出ている。「欧米金融機関のサブプライ
ムローン関連損失拡大を材料に株売り/債券買いが進展してきただけに、より安全な資産
の資金をシフトする質への逃避の材料はいったん消化済み」(国内証券)との声も出てい
たが、日経平均の下げ幅拡大とともに反発地合いを強めた。
前出の金融機関の関係者は、ソジェンの不正取引に関連して世界的に株式投資慎重化の
動きが強まれば「株式市場のセンチが下向きなだけに、株売りなどでリスク回避の動きが
再び強まるのではないか」と話している。
短期金融市場でもユーロ円3カ月金利先物は買い戻しの動きが優勢。ある国内の金融機
関は「欧州金融機関の損失拡大の懸念などもあり、不透明感が完全に払しょくされたわけ
ではない。米債高/株安の流れを継いで短期筋を中心に買いが集まった」と話している。
別の国内金融機関の担当者は「ファンドをめぐる損失のうわさもあり、売りに傾く雰囲気
ではない」という。
為替市場ではリスク回避をテーマに円買いがみられる。朝方の取引では、マクロ系ファ
ンドによるドル/円、ユーロ/円の買いが入っていたが、日経平均が下げ幅を広げると、
外国人投資家や国内資本筋による円買いがみられた。米連邦公開市場委員会(FOMC)
を控え動きにくいものの、株軟調で円買いの地合いが続いている、という。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)
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