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〔アングル〕北米市場が急減速、円高加わり自動車各社の来期見通しに不透明感

 久保 信博記者

 [東京 7日 ロイター] 自動車各社の収益見通しに不透明感が強まっている。利益のかなりを出している北米市場の事業環境が、サブプライム(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の波及で急速に悪化し、2008年1月以降の販売見通しに暗雲が漂い始めているためだ。加えて足元では円高も進行し、為替面からも収益を圧迫し出しており、自動車各社は北米市場の動向に神経をとがらせている。

  <北米で貸し倒れ率が上昇>

 自動車各社の2007年4─12月期決算は、通してみれば、新興国を中心に海外で販売を伸ばして好業績となった。しかし、10─12月期だけを切り取ると、北米市場のスローダウンの影響を受け、各社とも急ブレーキがかかっている。

 トヨタ自動車が5日に発表した4─12月期の連結営業利益は前年同期比12.3%増の1兆8737億円で過去最高を更新した。10─12月期の営業利益も過去最高だったが、その中で北米は35.5%の減益となった。トヨタの海外営業利益に占める北米の割合は4割以上。中国など他の海外市場の比重が急拡大しているものの、依然として日本国内と並ぶ稼ぎ頭だ。

 会見した鈴木武専務は減益の要因を「金融事業における金利スワップ評価損」と説明したが、それを除いても営業減益に変わりない。サブプライムローン(信用力の低い借り手向け住宅融資)問題と原油高で個人消費が減退し、販売台数が前年同期比1%減の75万6000台と03年4─6月期以来の減少となった。

 また、自動車市場が縮小に向かう中、競争が激化し、ピックアップトラックの「タンドラ」を中心にインセンティブ(販売奨励金)を積み増した。鈴木専務は「米国経済の信用収縮で自動車ローンの貸し倒れ率がゼロコンマ数%(ポイント)上昇している」ことも明らかにした。

 日産自動車7201.Tも北米事業の営業利益は、10―12月期に減益に転じた。4─9月期は前年同期比8.2%増の1310億円の営業利益だったが、10─12月期は同27.5%減少。販売台数自体は増加したものの、田川丈ニ執行役員は1日の決算会見で「自動車市場は夏ぐらいから混乱し始めていた」と述べた。

 トヨタと同様、自動車ローンの貸し倒れ率も上昇している。「サブプライムの客にはファイナンスしていないが、プライム(優良)の客で支払い遅延や貸し倒れ率の上昇が起きている」(田川執行役員)という。引当金を積んだり損失が発生したため、10─12月期を中心に販売コストが上昇した。

 スズキ7269.Tは、10─12月期の北米の営業損益が1億円の赤字だった。四輪車の主力市場を新興国とするスズキが北米で影響を受けたのは二輪車。余暇目的の要素が強い二輪車は景気減速のあおりを真っ先に受ける製品で、この状況はヤマハ発動機7272.Tも川崎重工業7012.Tも同じだ。スズキの鈴木修会長は1月の年頭会見で、「昨年8月、9月以降はアメリカ向けの輸出がかなり落ち込み、10─12月は全滅に近かった」と語った。

 <トヨタの1─3月期は円高で減益予想>

 10─12月期は為替が対ドルで円高に振れ、各社の利益を圧迫し始めた。「米国の現地生産率は8割で、自然な形でヘッジしている」(田川執行役員)とする日産も、4─9月期に500億円のプラス要因だった為替が、10─12月期には200億円弱のマイナス要因に転じた。

 富士重工業7270.Tの4─9月期は、為替差益が65億円程度あったが、10─12月期は増益効果がほぼゼロとなった。トヨタは4─9月期に為替が1500億円の利益押し上げとなったものの、10─12月期は逆に200億円押し下げた。

 1─3月期も為替の逆風は続きそうで、富士重工は通期で4億円程度のマイナス要因になるという。トヨタは「ドル安の影響で1─3月期は前年同期比で減益を見込んでいる」(鈴木専務)。

 <北米販売は1月も低調>

 北米の自動車販売は1月に入ってからも低迷が続いており、1─3月期以降は予断を許さない。ある関係者は「まずいという雰囲気が社内で広がっている。1月の数字が予想より悪かった」と語る。

 ホンダ7267.Tの近藤広一副社長は1月30日の決算会見で「感謝祭の後から二輪や汎用エンジンが影響を受けている」と語った。四輪車については「踏ん張っている」としたものの、1月の北米販売は前年同月比2.3%減少した。08年3月通期の四輪車販売計画も183万5000台(従来計画は185万5000台)に引き下げた。

 日産の1月の販売台数は同7.3%減少、トヨタは同2.3%減少した。トヨタの鈴木専務は「北米市場全体(の減少幅4%)は上回った。順調な滑り出し」と述べたが、08年3月通期の北米販売計画は297万台(従来計画は299万台)に下方修正した。

 マツダ7261.Tは1月の北米販売が10%増加したものの、ダニエル・ティー・モリス取締役は6日の決算会見で「(今年の)米国はどう動くか不透明。政府がどのような景気刺激策を打つかにもよるが、前半は厳しいだろう」と説明した。井巻久一社長も1月29日の新車発表会で、検討している現地での生産能力増強について「もう少し様子をみる必要がある」と慎重な見方をしていた。

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