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再送:〔アングル〕外銀の円調達コストが高止まり、底流で「デレバレッジ」継続か

*以下の記事は25日午後9時41分に配信しました。

 基太村 真司記者

 [東京 25日 ロイター] 異なる変動金利を交換するベーシススワップ市場で、円の調達コストが高止まりしている。一時的な需給のゆがみが背景とする声もあるが、その底流には運用成績の悪化したヘッジファンドのポジション解消など「デレバレッジ(レバレッジの解消)」が続いているとの見方も浮上している。米JPモルガン・チェースJPM.Nのベアー・スターンズBSC.N買収などを受けて世界的に株価が下げ止まるなど金融市場は表面上、やや落ち着きを取り戻したかに見えるが、水面下ではサブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題をきっかけとする信用収縮の波は収まっていない。

 <90年代後半の「ジャパンプレミアム」以来の資金調達難>

 金融市場ではドルや世界的な株価の下落が一服となっているが、ベーシススワップ市場では、円の調達にあたる「取り」が活発化している。特に、円の3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)とドルの3カ月物LIBORの期間5年の交換レートは大きく拡大。複数の市場筋によると、2月初旬は円LIBORプラス3―4ベーシスポイント(bp)程度だった交換レートは、ベアーの救済策が発表された翌日の18日には、一部欧州系と英系、米系金融機関の活発な円調達に同34bp付近まで急激に拡大。25日の取引でも同20bp付近と「ほとんど縮小しない。通常時は0―5bp程度に収まっているものと思えない」(都銀の先物為替担当責任者)状況が続いている。

 ドルLIBORに対する円LIBORの交換レートは、日本の金融システム不安が強まった90年代後半から2006年頃までマイナス圏で取引されてきたが、その後はプラス圏へ浮上。市場では前週、通貨のスワップ時に加減される金利幅としては、不良債権問題で邦銀に課せられた上乗せ金利「ジャパンプレミアム以来の水準」(短期市場関係者)となるプラス50bp付近で取引が成立したとの観測も浮上した。当時は邦銀が多くのコストを払ってドルを調達していたが、現在は外銀が「逆ジャパンプレミアム」ともいえる高い金利を支払い、円を取り上がる動きが相次いでいる。

 <一時的な需給のゆがみが一因、ヘッジファンド運用難の声も>

 市場では円LIBORの交換レート急上昇をめぐり、様々な要因が指摘されている。国際決済銀行(BIS)の新しい自己資本比率規制であるバーゼルII(新BIS規制)ではベーシススワップ取引のリスク性が現行制度より重く見積もられているため、導入前にポジションの圧縮が起こっていること、急速な円高で輸入企業の長期為替予約が相次ぎヘッジ需要が高まったこと、日本で新年度入りを前に3月は地方債の発行が増えたこと――などだ。

 そのため交換レートの上昇は、一時的なものに過ぎないとする見方もある。ある外銀関係者は「一部外銀の資金繰りが厳しいなどリスク回避につながりそうな話題が(交換レート上昇の)背景なら、他の年限にも大きく影響するはず。(円LIBORとドルLIBOR3カ月物スワップの)1年物は前週のピーク時でも12bp程度。低いとはいえないが、今回は基本的に需給主導と見ておいたほうがいい」とする。

 しかし期間5年の交換レートが今週に入っても高水準を保ち続けていることで、運用難に陥ったヘッジファンドがこれまでに調達した円を差し戻す円ポジション解消の動きがみられるなど、一時的な需給の問題にとどまらない可能性を指摘する声も市場では出始めた。

 急動意のきっかけには複数の見解があるものの「市場そのものが、これまで円の低金利を享受する方向のポジションが大勢だっただけに、ポジションが動き始めると止まらない」(前出の都銀関係者)ことは間違いない。ある市場関係者は「ベーシススワップも含め、過剰流動性の下で目を背けてきた様々な『リスク』へ次々と目が向かい始めた。最近の市場ではデレバレッジがすべてを圧倒している」と危機感を強めている。

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