for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

WRAPUP1: 2016年オリンピック開催地に東京は落選、「リオ特需」を期待する声も

 [コペンハーゲン/東京 3日 ロイター] IOC(国際オリンピック委員会)は現地時間2日、コペンハーゲンで総会を開き、3回目の投票で過半数を獲得したリオデジャネイロを2016年のオリンピック開催地に決定した。東京は2回目の投票で最下位となり落選したが、市場では「リオ特需」を期待する声もある。

 鳩山由紀夫首相はコペンハーゲンから東京に戻る政府専用機内で落選の報を聞き、「日本政府として東京開催を全面的に支援する立場から環境を重視したオリンピックであることを訴えた。東京チームはベストを尽くしたと思うし、新しいコンセプトの下での東京開催の魅力をアピールした。しかしながら結果として東京での開催が実現しなかったことは大変残念」との談話を発表した。

 東京都はプレゼンテーションで環境をキーワードにアピール。首相も1泊3日の強行日程でIOC総会に乗り込み、「東京は安全性と環境の未来のモデルとなる役割を果たせる立場にある」と訴えたが、2度目の投票で落選した。他の候補地に比べ国民のオリンピック開催への低い支持率がマイナスになった可能性がある。ロイターのインターネットサイトで行っているオンライン調査では、10月3日午前11時現在で賛成47%(1852票)、反対35%(1371票)、どちらでもよい17%(682票)と賛成が半数を割り込んでいた。

 当選したリオデジャネイロはブラジルのルラ大統領がプレゼンテーションに出席。財政面や治安問題などマイナス要素もあったが、対策の実行や南米初のオリンピックを訴え、3回目の決選投票でマドリードを下した。共同通信によると、ロゲIOC会長は総会後の記者会見で「リオの開催計画には欠陥がなかった。五輪が新しい大陸に行くという素晴らしい付加価値がある」と述べた。

 シカゴはオバマ米大統領夫妻が現地に乗り込み注目度が急上昇したが、第一回目の投票で落選した。

 <ブラジルの新幹線受注に期待>

 東京の落選に関し、市場関係者からは「東京は下馬評で不利と伝えられていたこともあり、特に失望感は出ないだろう」(明和証券シニアマーケットアナリストの矢野正義氏)との声が出ている。

 オリンピック開催の前年に当地の主要株価指数が上昇するケースが多いことが知られているほか、国内総生産(GDP)も開催年に高くなる場合が多い。三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏は「景気や消費の刺激効果が期待できる。リオはインフラ整備や競技場の建設が必要であり、ブラジルと親しい日本企業にとってはビジネスチャンスになる」と話す。リオでは2014年にサッカーのワールドカップも開催されることから「特需」を期待する声もある。

 また「ブラジルの新幹線受注に向け、関連銘柄が注目されそうだ」(みずほインベスターズ証券・投資情報部部長の石川照久氏)との指摘もあった。リオとサンパウロを結ぶ高速鉄道計画は来年の入札に向け近く入札条件が告知される見通しだ。

 コペンハーゲンで鳩山首相とルラ大統領の会談はなかったが、前原誠司国土交通相は30日の会見で鳩山首相に対し、IOC総会出席に際して、オバマ米大統領やブラジルのルラ大統領と会う場合には、日本の新幹線技術を売り込んで欲しいと要請していた。

 日本連合として入札に参加する可能性が高いとみられているのは、川崎重工業7012.T、JR東日本9020.T、三井物産8031.T、三菱重工業7011.T、東芝6502.Tの5社。

 リオオリンピックは7年後であり、現時点での経済刺激効果は限定的との指摘も多いが、「9月期決算発表が始まる前の材料不足のなかで話題となりそうだ」(準大手証券トレーダー)と期待する声もあった。

  (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)

(daiki.iga@thomsonreuters.com;03-6441-1785;ロイターメッセージング:

daiki.iga.reuters.com@reuters.net)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up