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再送:〔焦点〕キリン・サントリー統合できず、広がる海外勢との競争力格差

*この記事は8日午後9時25分に送信しました。

 [東京 8日 ロイター] キリンホールディングス2503.Tとサントリーホールディングス(大阪市)の経営統合交渉が決裂した。海外企業と比べると規模で見取りする日本の食品・飲料メーカーの中で「今後、グローバル展開が期待できる数少ない組み合わせ」(大手銀行首脳)との指摘もあっただけに、海外勢との競争力格差拡大に直結しかねない。両社とも次の一手に向けて、早急に歩を進める必要性に迫られそうだ。

 国内での収益基盤を強固にして、海外展開を加速させるには「強者同士の統合が必要」という点でトップ同士の意見が一致し、昨年7月に始まった両社の経営統合交渉。背景にあったのは、海外企業と対等に競争するには、縮小する国内市場で価格競争やシェア争いを激化させ、疲弊している場合ではないという考えだ。キリンとサントリーが経営統合すれば売上高規模で約4兆円、世界第5位規模の食品メーカーが誕生するはずだった。

 ビールは装置産業だけに規模が大きくなれば利益率は高まる。海外のビールメーカーにとって営業利益率10%程度は当たり前だが、日本のビールメーカーの利益率は半分程度にとどまる。サントリーの佐治信忠社長が「営業利益率10%は欲しい」と常々語っていたのはそのためだ。海外メーカーと同じ土俵で戦うためにも、経営統合は有力な選択肢だった。「キリンがパートナーとしては一番良かったし、それだけ尊敬に値する会社だった」(佐治社長)と言うように、日本のビールメーカーの中で経営統合するには、キリンとサントリーしかないというのが、両社の共通の考えだったと言える。

 <再編は必至、国内外問わずM&Aの可能性>

 「国内市場のパイが今後、縮小していくのは明らか。再編していかなければ生き残りは困難」(クレディ・スイス証券アナリストの沖平吉康氏)というのは、日本の食品メーカーを取り巻く環境として変わりようのないのない事実だ。大手銀行の大企業担当役員は「経営者は頭では理解しているが、なかなか大型M&Aに踏み切れない。競争が激しくなってもすぐに倒産するわけではないからだ」と打ち明ける。

 実際、キリンの加藤壹康社長は8日の会見で「今までの延長線上のビジネスだけを展開するわけではない」とした上で「1つの案件にこだわって戦略を展開しているわけではない。常に戦略オプションは持っている」と述べ、今後もM&Aは成長戦略の1つだと位置づけた。

 一方のサントリーの佐治社長も8日、記者団に対して「単独でグローバルに生き残るのは必ずしも容易ではない」とし、「海外の会社と統合することもあり得る。キリンもわれわれも、いろいろと考えていかなければならない」と述べた。

 今回の破談の背景については「非上場会社のオーナー会社であるサントリーと、三菱グループを出自に持つキリン。あまりにも企業風土が違いすぎた」(業界関係者)という指摘もある。

 統合が実現していれば、サントリー株の約90%を保有する創業家の資産管理会社「寿不動産」が、新会社の中で筆頭株主になるはずだった。「統合新会社の経営の独立性と透明性が担保されない」(加藤社長)という認識と「リスクを取って大株主になるのだから、サイレントマジョリティではなく、何かあれば意見を言う」(佐治社長)という差が、大きな溝となっていた。

 しかし、今回の統合決裂をもって、日本企業同士の強者連合誕生の芽がなくなったと判断することはできない。クレディ・スイス証券の沖平氏は「日本のビールメーカー同士は難しいかもしれないが、飲料業界での再編は可能性があるし、なければいけない。今回はハードルが高かっただけで、日本の食品業界全体で再編がストップしてしまうわけではない」と指摘している。

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(ロイター日本語ニュース 清水 律子記者;編集 田巻 一彦)

※(ritsuko.shimizu@thomsonreuters.com; 03-6441-1824; ロイターメッセージング:ritsuko.shimizu.reuters.com@reuters.net)

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