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〔焦点〕欧州債務危機対策、投資家は特別目的投資機関への参加に慎重姿勢

 [ロンドン 25日 ロイター] 欧州当局者は、債務危機の解決に向け、4400億ユーロ(6110億ドル)の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資能力拡大策として、特別目的投資機関(SPIV)を通じて投資家を取り込む案を検討している。ただ、期待通りに投資家から資金を調達するのは簡単ではなさそうだ。

 欧州連合(EU)は、ヘッジファンドや政府系ファンド(SWF)などから調達した資金で国債市場を支援し、多額の債務を抱えるユーロ圏諸国の資金調達コストの引き下げを目指す同案に期待を寄せる。

 ただ、同案はファンドマネジャーやアナリストが欧州危機に歯止めを掛けるのに必要と語る抜本的解決策ではないため、投資家の関心はいまひとつだ。シティの欧州クレジットストラテジー責任者マット・キング氏は、中国やブラジルの投資家が突如一斉に投資するとは考えにくい、と語る。

 欧州当局者は26日の首脳会議を前に、EFSFの資本基盤を拡大せずに融資能力を拡大する策として、SPIVを通じて投資家を取り込む案と、ソブリン債への保証付与という2通りの選択肢を打ち出した。ユーロ圏筋は25日、首脳会議では双方の選択肢、あるいは双方を組み合わせた案が承認される可能性が高いと明らかにしている。

 SPIVはソブリン債を買い入れ、リスクを分割することでさまざまなリターンを提供する。低リスクのシニアトランシェとリスクに飢えるヘッジファンドが好むようなジュニアトランシェが用意される。シニア部分は、中国、ブラジル、シンガポール、中東諸国などのSWFからの投資を呼び込む可能性がある。

 銀行は金融危機以前、借り手のデフォルト(債務不履行)リスクを帳簿から切り離すため、SPIVと似た手法を広く使ってきたが、短期金融市場での資金調達ができなくなると、この手法は機能不全に陥った。

 アナリストは、より長期間での資金調達に基づくSPIVでは、このような事態は起こりにくいとみるが、その複雑さが多額の資金を調達できるかどうかを不透明にしていると指摘する。資産運用会社ロベコのチーフエコノミスト、レオン・コーネリセン氏は「十分な規模の保証が提示できれば、これらすべての巧妙なトリックは問題にならない。結局のところ、その背後に返済の用意がある国家が存在している必要がある」と語った。

 必要とされるEFSFの規模に関する見通しはさまざまだ。あるシニアインベストメントバンカーは、EFSFの規模が「巨額」であり、欧州が問題からの脱却に「必要なあらゆることを実践する」限り、具体的な数字は関係ない、と語る。

 問題は、欧州危機対応で議論される解決策の多くが政治的合意を必要とすることだ。

 スタンダード・ライフの投資責任者イアン・ピッツァー氏は、中国や他の豊かな国は、長期的な解決の見込みがあれば、ユーロ通貨同盟の支援に乗り出す可能性があると指摘。「欧州がEU条約の変更に向けた枠組みをまとめることができれば、G20から十分な支援を受けられるかもしれない」と述べた。その上で、「難しいのは、その改正案が全加盟国の議会で承認される保証がないことだ。民間資本がこうしたリスクを取れないのはそのためだ」と語った。

 SPIV創設案の長所も指摘される。シニアトランシェは、トリプルA格を得られるならば、独連邦債など最も安全な国債だけを通常購入する投資家を取り込む可能性がある。一方、ジュニアトランシェがヘッジファンド筋の投資を呼び込めば、EFSFの能力はさらに強化される。

 ただ、EFSFのような超国家的機関が発行する債券の市場規模は国債市場よりも限定されるとの見方もある。

 (Douwe Miedema/Sinead Cruise記者;翻訳 高橋恵梨子;編集 関佐喜子) 

※(eriko.takahashi@thomsonreuters.com; 03-6441-1777; ロイターメッセージング:eriko.takahashi.reuters.com@reuters.net)

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