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〔焦点〕クライスラー破産申請、前途多難なGM<GM.N>の状況を改めて浮き彫りに

 [デトロイト 30日 ロイター] 米自動車大手クライスラーは30日、連邦破産法第11条の適用を申請し、裁判所の管理下で再建を模索する道を選んだが、ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nにとっても、主要債権者との債務再編交渉を完了させ、クライスラーと同様の運命を回避することが困難なことが改めて浮き彫りとなった。

 クライスラーは、フィアットFIA.MIとの提携で合意し、主要労組からも譲歩を得た。しかし70億ドルの債権を持つ金融機関45社からは、債務の約60%減免で合意できなかったことから、破産法の適用申請に踏み切った。

 GMにとって多くの社債保有者を説得し、政府が設定した6月1日の期限までに大規模な債務の株式化に応じさせることは、不可能ではないものの、かなり難しいとみられている。

 GM債を保有するクレビナ・キャピタルのファンドマネジャー、ラリー・クレビナ氏は「不幸にもクライスラーの破産法申請で、GMが破産した場合にGM債保有者が想定よりも悪い条件を受け入れることになるという問題が浮き彫りになった」と述べた。

 同氏によると、GM債に対しクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で保険をかけている保有者は、GMが打ち出している債務の株式化には応じずにGMが破産処理したほうがリカバリー率がよいとの期待から社債を保有し続ける可能性がある。

 GMが現在債権者に提示している債務再編案は、債務270億ドルについて90%の減免を要請した上で、新会社株の10%を割り当てるというもの。

 年初以来事業存続のために154億ドルの金融支援を実施している政府は、経営再建下のGM株の少なくとも50%を保有する。

 一方全米自動車労組(UAW)は、GMの退職者医療保険基金への支払い義務を半額の100億ドルに減免することを受け入れる見返りにGM株約40%を取得する。

 オキーフ&アソシエイツのディレクター、マイク・ハウスマン氏は「現行の政府案は債券保有者にとって好ましい内容には見えない。GMの債券保有者はGMが破産処理した場合の債権の回収価値について厳しく見直している」と述べた。

 <債権者が代替案>

 GM債を保有しているのは現役や退職社員のほか、ルーミス・セイレス、フィデリティ、フランクリン・テンプルトン・インベスメンツ、パシフィック・インベストメント・マネジメントなど大手投資会社が名を連ねている。

 GMの社債保有者は30日、GM側の債務株式化案の対案として、債券保有者が新会社株の58%、UAWが41%を保有することを提示した。政府の保有比率はゼロになる。

 GM債権者委員会の財務アドバイザーは「米国で最大規模の重要な会社の1社を国有化することは、わが国にとって正しい政策決定ではないと思う」と指摘。「分別のある人間であれば、われわれの計画が完全に妥当であるほか、債権の比率に沿って新GM株を割り当てることは、法廷外での各当事者の主張をまとめる最善の方法だと分かるはずだ」と述べた。

 ただ、GMの債権者は政府や国民から債務再編案を受け入れるよう圧力が強まる可能性がある。債務再編案が受け入れなければGMも6月1日までに破産法の適用を申請することになるためだ。

 バッツエル・ロング法律事務所の関係者はクライスラー破産申請について「GMの債権者に妥協の重要性を認識させるものだ」と述べている。

 (Soyoung Kim記者;翻訳 宮本辰男;編集 村山圭一郎)

(tatsuo.miyamoto@reuters.com; 03-6441-1864; tatsuo.miyamoto.reuters.com@reuters.net)

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