*アイルランド司法相、支援要請の可能性を排除せず。
*国際機関とは「市場の状況」を踏まえて対話=アイルランド財務省報道官
*EU、アイルランドに支援を受け入れるよう圧力。450億─900億ユーロの支援を検討=EU筋
[ダブリン/ベルリン 14日 ロイター] 財政問題に揺れるアイルランドは14日、欧州連合(EU)への支援要請は行っていないと表明した。ただ、今後、要請に踏み切る可能性は排除しなかった。
アハーン司法・平等・法改革相は14日、公共放送RTEテレビの番組で、金融支援に関するEUとの協議の事実関係を否定。
「けさ首相、財務相と話した。この件について、何も起こっていない」と述べた。ただ、アイルランド政府が支援を要請しないと断言できるかとの質問には「日々いろいろなことが起こっている」と答えた。
財務省報道官は声明で、国際機関とは「現在の市場の状況を踏まえた」対話をしている、とし、支援の申請は行っていないと重ねて表明した。
複数の関係筋によると、EUはギリシャ型シナリオを回避しようと、アイルランドに支援を受けさせようとしている。
ただ、ドイツは、アイルランドに支援を受け入れるよう圧力はかけていない、としている。
複数のEU筋によると、検討されている支援額は、アイルランドが銀行向け支援を必要かするかによるが、450億─900億ユーロ(630億─1230億ドル)。
関係筋の一人は、アイルランドは緊急支援を要請するのに前向きでないが、金融市場で同国債などの状況がさらに悪化すればやむを得ないと指摘した。
アイルランドは、2013年からのEUの危機管理メカニズムについて、ドイツが民間投資家に負担を強いる資産価値の減価(ヘアカット)構想を打ち出したことが事態をより深刻化させたと批判している。
アイルランドの借り入れコストは過去1週間に大幅に上昇した。
アイルランドをめぐる懸念で、他のユーロ圏周辺国が受けている圧力も和らいでいない。
次の支援要請候補とみられているポルトガルの外相は13日、与野党が一丸となって危機に対処しなければ、ユーロ圏離脱という事態に追い込まれると危機感を表明した。
ゴールドマン・サックスの欧州チーフエコノミスト、エリック・ニールセン氏は14日付のリポートで、欧州委員会がこの週末にポルトガルと支援を念頭とした協議を行っている可能性を指摘。
「アイルランドとポルトガルとでは違いがあるが、どちらかが正式に支援を要請すれば、同時にまとめて手続きを開始するのがすべての利害関係者にとって利益と言える」としている。