for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

アングル:止まらない株安、PBR1倍水準が下値めどとの見方も

[東京 28日 ロイター] - 世界的に株安が止まらない。28日の東京市場で日経平均株価は一時1000円を超える下げ幅となった。これまで「対岸の火事」とみていた新型コロナウイルスの流行が足元に飛び火する形となり、年初から堅調を維持していた米国株も大きく崩れた。

 世界的に株安が止まらない。28日の東京市場で日経平均株価は一時1000円を超える下げ幅となった。写真は東京証券取引所で2015年8月撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

今後も関連ニュースに一喜一憂するボラティリティーの高い相場となる可能性が高いが、日経平均はバリュエーション面でPBR(株価純資産倍率)1倍前後の2万1000円割れの水準がいったん下値めどとみる向きも多い。

市場関係者の見方は、以下の通り。

●米株センチメントの悪化、1万年に1度の衝撃

<野村証券 クロスアセット・ストラテジスト 高田将成氏>

当社が推計している米株のセンチメントは今週マイナス5シグマを超えた。正規分布の仮定下では392万分の1、1万1200年に1度の発生確率だ。2018年2月の「VIXショック」時も同程度のセンチメント悪化がみられたため、実際の発生確率はそれほど小さくないが、それでも「異常値」であることに変わりはない。

単に、CTA(商品投資顧問業者)やリスクパリティ・ファンドなどによるテクニカルなポジション調整ではなく、ファンダメンタルズをベースにした投資家が「異常事態」の到来を本能的に察知している可能性がある。

「VIXショック」時も当初はテクニカルな調整とみられていたが、その後、米中貿易戦争が起こり、世界経済が減速した。今回も、新型コロナウイルスが終息しても世界的な景気減速が一時的に終わらずに、消費者や経営者の心理に大きな影響を与えることで、2四半期以上の景気後退となるリセッションの可能性を織り込み始めた可能性も考えられる。

●2万1000円より下値は岩盤に

<東海東京調査センター シニアストラテジスト 中村貴司氏>

VIX指数の急上昇が示す通り、世界的にリスクオフのムードが広がっている。こうなると、いったんは買い戻される場面があっても、リスクコントロール型のファンドなどの売りが上値を抑えるため、リバウンドも限られるだろう。日本独自の事情で言えば、期末を控えて国内機関投資家は動けず、持ち合い解消売りも出やすい。個人の買いが期待されながらも、総じてみると需給面は厳しい状況にあり、それも市場のセンチメントを悪化させている。

ただ、下値についてみると、日経平均で2万1000円よりも下値は岩盤で、容易に売り崩せないのではないか。先に、2万4000円に何度もトライしながら上値を取れなかったが、それと同じような状態になる可能性もある。

2万0700円─2万0800円の水準はPBR1倍前後で、ファンダメンタルズが極端に悪化でもしない限り、それを大きく下回るとは考えにくい。さらに、これまでの急落相場がそうだったように、大幅な値幅調整の後は、きっかけひとつで劇的に戻る可能性があることも売りにくい印象を与える。

ここでの救いは、米国で半導体などハイテクセクターが比較的下げが小幅となっている点だ。5Gなど成長性の高い分野は、新型コロナウイルスの影響が小さく、これらが値を保てば日本株の下支え要因になりそうだ。

日経平均の今後3月間のレンジ予想:2万0700─2万3000円。

●PBR1.0倍割れでは押し目買いも

<SBI証券 シニアマーケットアドバイザー 雨宮京子氏>

新型コロナウイルスの感染拡大による世界同時株安を、リーマン・ショックに例える見方もあるが、現状は異なる。リーマン・ショックは金融機関の破綻が発端で、為替のドル/円では急速に円高が進み、影響は隅々まで波及した。今回の株安は急速な円高が見られない上に、成長性の高い半導体や5G関連は国策的な取り組みでもあることから、多少の後ずれは生じても、長期的な打撃を受けるとは考えづらい。

東証1部の売買代金は連日3兆円を超えている。ベア型ETF(上場投資信託)やETN(指標連動証券)も買われていて、日経平均VI先物指数ETN2035.Tに関しては一時ストップ高となった。一部の投資家はこの世界的な暴落をチャンスと捉え、巧みに売買していることがうかがえる。

PBR(株価純資産倍率)の1倍水準が下値めどとして意識されるなか、それを割り込む局面では無条件に買われる可能性がある。割安のタイミングで、株主優待や配当狙いでANAホールディングス9202.Tなどの株を買う個人投資家は多いだろう。

日経平均の今後3月間のレンジ予想:2万0800─2万3300円。

●慎重ながら回復シナリオ探る展開か

<日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト 神山直樹氏>

向こう3カ月、日経平均の下値めどは2万円とみている。2018年末に景気後退懸念が出た局面で下抜けたが、19年はほぼ割り込んでいない。新型コロナウイルスの感染が4─6月期にさらに拡大し、年間を通じた世界経済のマイナス成長を織り込み始めれば2万円割れもあり得るが、今のところマーケットはそこまで想定して動いていない。

向こう3カ月の中で、日本は年度をまたぐが、年度末あたりから慎重ながらも回復シナリオがみえてくる可能性がある。セクターや企業ごとに良し悪しはあるだろうが、必ずしも全部だめとは限らない。決算発表などを通じて1─3月期に新型ウイルスが企業収益に与えた影響も判明してくる。

そもそも去年10月から12月までの株価上昇は行き過ぎ感があった。米中貿易摩擦への過度な警戒が解け、楽観の極みになったと言えよう。その時の水準の2万4000円には届かないだろうが、この先3カ月の中で下値を確認しながら2万3000円程度までの上昇もあり得るだろう。

日経平均の今後3月間のレンジ予想:2万0000─2万3000円。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up