[ワシントン 14日 ロイター] - 米国とメキシコの両政府は14日、メキシコにあるパナソニックの自動車部品工場における労働者の権利侵害を巡る問題が決着したと認定した。パナソニックが団体交渉権の法的資格を欠いた組合との合意を破棄し、独立系労組SNITISの下で従業員が勝ち取った、物価上昇率を上回る9.5%の賃上げが保証されたためだ。
メキシコ北東部タマウリパス州レイノサのパナソニック・オートモーティブ・システムズの工場で働く従業員の代表権を得ているSNITISは、会社側がSNITISと別の組合と労働契約を結んだことで、団体交渉権などが侵害されたと主張。申し立てを受けた米政府は、2020年に発効した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づいてメキシコ政府に調査を要請していた。
その後パナソニックは、従業員の代表権を持たない組合との合意を取り消すとともに、改めてSNITISを団体交渉相手として承認し、SNITIS支持を理由に解雇した19人を復職させるなど対応に動いた。
パナソニックノースアメリカは「米通商代表部(USTR)がUSMCAの取り決めに基づく手続きを終了し、米・メキシコ政府が同社従業員の権利侵害が存在しなくなったとの意見で一致したのは喜ばしい」とコメントした。
説明。USTRのタイ代表は「本日の発表は、バイデン・ハリス政権が、たとえ米国以外であっても労働者の権利を必ず守るという新たな実例だ」と強調した。
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