October 31, 2018 / 7:06 AM / 11 days ago

コラム:米国は本当の民主主義国家と呼べるか

[30日 ロイター] - 民主主義が定着した国の有権者は、政見や政策、イデオロギーの違いで政党を選ぶために投票所に行くことに慣れている。だが自由が制限された国では、候補者や争点についてではなく、自由で公平な選挙や、そもそもの選挙権を巡る選択肢について投票することが多い。

10月30日、民主主義が定着した国の有権者は、政見や政策、イデオロギーの違いで政党を選ぶために投票所に行くことに慣れている。米ワシントンの連邦議会議事堂前で2017年9月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

米国も、後者の方向に向かっているのだろうか。

11月6日に行われる極めて重要な中間選挙に向けて、米国の有権者が投票準備を整える中で、気候変動や移民政策など、共和、民主両党の意見が対立する重要な課題が浮かび上がっている。しかし、今回の選挙では、疑いなく、民主主義そのものが問われる要素が、公民権運動後では前例がないほど深く入り込んでいる。

欧州や北米の多くの国を含めた民主主義国家においては、経済政策を選択し、外交政策の方向性や、同性婚や治安維持などの国内問題について選択をすることが民主主義だ。

だが、民主主義が発展途上だったり、崩壊しつつあるなどして完全ではない国の選挙は様子が異なる。旧ソ連圏や、アジア、中東などの国において、選挙はしばしば、言論や集会の自由を制限して公平な選挙を妨げようとする与党に対して、実質的に民主主義そのものを訴える野党が競う構図となっている。

2018年の米中間選挙は、気がかりなほど、民主的な度合いが低い国の選挙に似た様相を呈している。

例えば、ジョージア州知事選では、共和党候補者で、現職の州務長官として州で行われる選挙を遂行する立場にあるブライアン・ケンプ氏が、主に黒人の有権者数万人から選挙権を奪おうとした。

カンザス州では、共和党の知事候補クリス・コバチ氏が、トランプ大統領によって、米国ではめったに起きない不正投票についての調査委員会の委員長に指名されたことで悪名を馳せた。コバチ候補はこれまでのキャリアで、特に非白人による投票が困難になるような選挙権制限を提唱してきた。

アイオワやミズーリ、ノースカロライナなどの州でも、共和党がこの2年間、選挙投票を難しくする法律を州議会で成立させている。

選挙権を巡り、共和、民主両党が対立しているだけではない。共和党が州議会を支配するオクラホマとルイジアナでは、合衆国憲法修正第1条が権利を保障する言論や集会などの活動を制限したり、抗議活動に対する罰則を強化したりする法律が成立している。

こうした一連の動きは、抗議活動の権利を制限するよう提案し、メディアを「人民の敵」と頻繁に罵倒する共和党大統領の下で起きたことだ。

楽観的な材料があるとすれば、米国における民主主義を巡る議論が驚くほど活発に、そしてより公に行われるようになったことだろう。

民主主義の強化を訴える人々は、選挙権を妨げる法律の撤回や、修正第1条のより柔軟な解釈を求めている。一方で、憲法には民主主義を制限する意図があり、投票を容易にすることを定めたものはなく、米国はそもそも民主国ではなく共和国だと主張する人々もいる。

2016年の大統領選で、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏に続き、トランプ氏が一般投票で過半数を得ずに当選した今世紀2人目の共和党大統領となったことや、連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏が、米国民の少数派を代表する上院議員らによって承認され、人口差に関係なく各州に上院議員2人を割り当てることの「非民主性」が注目を集めたことで、こうした議論はさらに先鋭化している。

こうした傾向は、政府の安定性や正当性にとってマイナスに働くものの、米国をゆっくりと、より民主的な国に変えるかもしれない。

民主党が次に国の政権を取り返す場合は、米国における「民主的な正統性の危機」と一部で危惧されている事態に対応するため、構造改革を進める可能性が高い。

例えば、最高裁の定員拡大や、首都ワシントンや自治領プエルトリコを州に格上げし、それらの多様な住民が上院議員を選出できるようにすることで、現在白人が圧倒的多数を占める少規模州の存在によって生じている上院での人種的不平等を縮小することなどが挙げられる。

これらは党派的な立場に根ざした主張だが、米国の政治構造における民主的ではない部分がすべて共和党の有利に働いているという、民主党議員の間で広がりつつある認識を反映している。

こうした問題のほとんどは、中間選挙では解消されない。上院の構成や、最高裁判事の承認プロセス、大統領の選挙プロセスは、今回の投票用紙上で問われている内容ではない。

だがそれでも、真に民主的なアメリカを望む人々は、こうした構造的な改革が必要であること、そして民主主義についての国家的が議論は、米国政治の一部になっていることに気付き始めている。

*筆者はニューヨークとサンフランシスコを拠点とする政治アナリスト兼研究者です。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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