[東京 23日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tが、独自に開発を進めるデジタル通貨「MUFGコイン」を使った実証実験を進めている。23日からは米アマゾン・ドット・コムAMZN.Oの認証技術を使い、レジを通さずに買い物の決済をする試みを始める。関係者が明らかにした。
今回の実証実験で得たノウハウは、MUFGコイン関連に限らず、既存の銀行業務での応用も検討する。例えば、銀行の支店で顔認証技術を活用することでよりスムーズな接客ができるようになるなどが考えられる。
実験では社内にコンビニエンスストアを模した無人店舗を設置。アマゾンウェブサービスの画像認識技術を使い、社員が飲料などの商品を手に取り、そのまま店を出ると自動的に本人のMUFGコインアプリに代金が請求されているかを確認する。
アマゾンはすでに米国でレジのない店舗「アマゾンGO」をオープンしている。三菱UFJは自社でも同様の実験をし、顔認証や機械学習の要素技術の検証を進める。
これとは別に、先週から三菱UFJの本部ビル内にある実際のコンビニエンスストアでは、MUFGコインでの支払いに対応するレジを設けて、店舗での決済の実証実験も始めている。
MUFGコインは価値が固定されており一般的な仮想通貨とは異なる。また電子マネーとは違い、利用者間での送金ができることから両者の中間の「デジタル通貨」との位置づけだ。
ただ、キャッシュレス決済の手段としては、クレジットカードをはじめ世の中にはすでにさまざまなものが存在する。そのため、三菱UFJはさまざまな実証実験を通じて、新しい使われ方を探している。
浦中 大我
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