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コラム

コラム:インフレ率上昇、中銀「リアルタイム指標軽視」のツケ

[ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界の中央銀行が、「バックミラー」に頼り過ぎる金融政策運営のツケを払っている。中でも苦しんでいるのが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長だ。

  4月12日、 世界の中央銀行が、「バックミラー」に頼り過ぎる金融政策運営のツケを払っている。ワシントンのFRBで1月撮影(2022年 ロイター/Joshua Roberts)

米労働省が12日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.5%上昇した。これは1981年以来の高い伸びで、1年前の3倍だ。インフレは今ピークに達したか、その近くにあるのかもしれない。しかし、まだしばらくはFRBの目標を上回り続けるだろう。パウエル氏の過ちは、物価上昇圧力を示すリアルタイムの指標を軽視し過ぎるアプローチを採ったことだ。

クリーブランド連銀のメスター総裁は10日、米国のインフレ率は今年と来年、いずれも2%を上回るとの見通しを示した。これは、ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰のような予想外のショックが一因だ。しかしパウエル氏が2020年に発表した柔軟な「平均インフレ目標」と呼ばれる政策の枠組みにも責任がある。これはインフレ率が低過ぎる経済に対処するために設計されており、物価が急速に上昇し始めるとうまく機能しなかった。この欠点のせいでFRBは利上げで後手に回り、今追いつこうとしているところだ。

CMEグループのFedウォッチ・ツールによると、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25―0.5%から0.5%ポイント引き上げるのはほぼ確実な情勢となっている。そして今年末までに政策金利が少なくとも2.5%に達する確率は70%だ。急激な連続利上げはインフレによって正当化されるかもしれないが、経済にとってはリスクを伴う。ウォラーFRB理事は11日、複数回の利上げのような「強引な手段」は時として副作用を伴うと述べた。ロイター調査によると、今後1年間に米国が景気後退に陥る確率は25%と見られているが、今後2年間では確率が40%に上がる。

FRBの政策枠組みを批判する人々は、その主要な欠陥を以前から指摘していた。平均インフレ率を目標にすると金融政策があまりにも長期にわたって緩和的な状態になり、その後は急速に引き締めを進めなければならなくなるという問題点だ。英イングランド銀行のような他の中銀も、FRBと同様に低インフレを重視するあまり、新たな問題の発見が遅れた。過去のパターンが再び現れると考えるのではなく、労働市場やサプライチェーン(供給網)の混乱を重視していれば、中銀幹部が将来に向けてもっと優れたプランを立てるのに役立ったはずだ。

●背景となるニュース

*米労働省が12日に発表した3月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.5%上昇した。伸びは前月の7.9%から加速し、1981年以来の大きさとなった。

*変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比6.5%上昇と、82年以来の伸びを記録した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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