March 4, 2018 / 1:10 AM / 7 months ago

アングル:介護を担う米国の若者たち、自らを救う5つの方法

[ニューヨーク 22日 ロイター] - 28歳のアマンダ・シンガーさんは、マサチューセッツ州でダンススタジオを経営し、多忙な毎日を送っていた。

 2月22日、28歳のアマンダ・シンガーさんは、マサチューセッツ州でダンススタジオを経営し、多忙な毎日を送っていた。写真はベルリン近郊の高齢者向け住居で2013年5月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

だが昨年後半、母親が乳がんで緊急手術と放射線治療を受けたことで、予期せぬ形で、よりたくさんの責任を背負い込むことになった──。無償で、家族の介護をするという役目だ。

シンガーさんは、米国に数百万人いる、介護を担うミレニアル世代の1人だ。同世代のほとんどが自身のキャリアや恋愛を重視するなか、シンガーさんは、週に3日、1日12時間を母親の隣で過ごし、買い物などの家事を手伝っている。

シンガーさんは、恋愛を一時棚上げにした。友人らと交流するソーシャルライフは「まったく存在していない」と話す。

ミレニアル世代の介護者は、その世代のステレオタイプにあてはまらない隠れた層だ。

「ミレニアル世代はナルシストで、自分勝手だという根拠のない説が広まっている」と、英サセックス大で米国の若い介護者について研究するフェイリン・ルイス氏は言う。

こうした固定概念によって、ミレニアル世代の介護者が必要な認定や支援を受ける障害となっていると、同氏は話す。

2015年の全米退職者協会(AARP)の調査によると、米国には4000万人の介護者がいる。こうした無給の働きによる経済価値は、2013年に約4700億ドル(約50兆円)に上った。

典型的な介護者は「中年女性」だが、ミレニアル世代は、介護者全体の4分の1近くを占める。

ミレニアル世代が、心理的にも体力的にも負担が大きくなりがちな介護をこなすために役に立つポイントを5つまとめた。

●1人ではない

レベカ・ビートンさん(21)は、人生のほとんどを母親の介護に捧げてきた。母親は、ビートンさんが生まれた年に多発性硬化症と診断された。

10歳の時には、母親の髪を整えるなど、日常的な行動を手助けしていたことを、ビートンさんは覚えている。17歳で、父親とともに母親の介護を担うようになり、それは昨年12月に母親が亡くなるまで続いた。

「時々、本当に孤独だと感じたことを覚えている。私のような経験をしている人は他にいないと思っていた」と、ビートンさんは言う。

支援団体などは、より年上世代の介護者支援に重点を置いているが、ミレニアル世代は、オンライン上で同世代の介護者とつながることができる。

ビートンさんも、米多発性硬化症協会や、障害者やその家族を支援する宗教組織「ジョニと友人」を通じて支援を得た。

●自身のケアも重要

「罪の意識にさいなまれる」と、ティファニー・マーカムさん(33)は言う。マーカムさんは2015年、認知症の父親の世話をするため、同居を始めた。

今年1月に父親が亡くなるまで、マーカムさんは毎朝、その日の着る洋服を並べてから父親を起こし、着替えを手伝い、薬を飲ませてデイケアセンターに行く準備を手伝った。その間、フルタイムで仕事をこなし、夜帰宅してから再び父親の世話をした。

できることをすべてやっても、マーカムさんは、もっとやれないことに罪悪感を抱えていたという。

「不満だったし、不満で罪悪感を抱えていたことについても、いやな気持になった」と、マーカムさんは言う。

マーカムさんには、セラピーと抗うつ薬が役に立った。また、支援グループに対して、自分の正直な気持ちを話すことを勧めるという。

自らをケアすることは極めて重要だ。介護者が他者に集中し過ぎると、自身のニーズを無視して燃え尽きてしまいかねない。十分に休養し、可能な時には休暇を取ることも大事だ。

●おカネの見通しを立てよう

家族の介護のために休職などを強いられたミレニアル世代は、事前準備がなければ、退職後も含めた将来に向けて自分の資産を用意できないことがあると、非営利団体「全国介護者連合」のグレース・ホワイティング会長は言う。「ミレニアル世代も年を取るのだから、経済的なことを計画する必要がある」

アルツハイマー協会などが、介護者が長期的な家計の安定をはかるためのリソースを提供している。

●差別的扱いを禁じた州法を知ろう

AARPによると、平均的なミレニアル世代の介護者は働いており、勤務時間は週34.9時間だ。だが、介護をしていることで、キャリアのステップアップが遅れることもある。

「ミレニアルは、キャリアを築こうとしている。介護のために休んだり遅刻する必要が生じると、介護が仕事上の役割に影響し始めたことになる」と、前出のルイス氏は言う。

介護者を職場での差別から守る法律は、州により異なる。AARPのサイトでは、介護者の権利について情報を掲載している。

●友人と比較しない

ミレニアル世代の介護者の生活は、それぞれ異なった形で変化していく。他者と自分を比べることは避けよう。

介護を続けるためにオンラインで大学の学位を取得した前出のビートンさんは、友人と異なるタイミングで人生の節目が来ても構わないと、自らに言い聞かせている。

ビートンさんは、自分の母親が永遠に生きる訳ではないと分かっていた。「いまは、これが人生でやるべきことなんだ」と、自らに言い聞かせていたという。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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