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インタビュー:英EU離脱、基調的物価押し下げの公算=門間・前日銀理事
June 27, 2016 / 5:56 AM / a year ago

インタビュー:英EU離脱、基調的物価押し下げの公算=門間・前日銀理事

[東京 27日 ロイター] - 今年5月10日に日銀理事を退任した、みずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は27日、ロイターの取材に応じ、英国の欧州連合(EU)離脱は、世界経済の下押しや円高・株安を通じ、基調的な物価を押し下げる可能性があると指摘した。

 6月27日、前日銀理事の門間一夫氏はロイターの取材に応じ、英国のEU離脱は、世界経済の下押しや円高・株安を通じ、基調的な物価を押し下げる可能性があると指摘。写真は日銀貨幣博物館で昨年11月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

一方で、きょう、あすにも臨時の金融政策決定会合を開く状況ではないとの認識も表明。追加緩和の場合は、リスク性資産の買い入れ拡充が選択しやすいとの見解を示した。

為替介入はG7(主要7カ国)・G20(20カ国・地域)で必要な場合、認められているが「必要と判断することは簡単ではない」と指摘した。

また、2017年度に2%の物価目標を達成するとの日銀見通しを金融市場は信用しておらず、目標達成期限は柔軟化すべきと主張した。

財政拡張を金融政策で支え続けるヘリコプターマネーは、人々の不安を高めるリスクがあり効果が少ないとの見方を示した。

<英EU離脱、円高・株安が心理冷やし経済の勢い失うリスク>

英国のEU離脱の影響について「世界経済の下振れと、円高・株安が日本の企業や消費者の心理を冷やし、経済の勢いを失うリスクがある」と指摘。短期的なショックであっても「それがきっかけで経済の好循環が崩れるなら、(日銀は)できることは何でもやる」と分析した。

一方、臨時の金融政策決定会合の可能性については「そこまでの事態にはならない。今の段階では、きょう、あすにも必要と思わないが、必要があればいつでもできる」と述べた。

追加緩和手段として「量・質・金利の3次元すべて候補たり得る」としつつ、「債券市場への配慮やイールドカーブ(利回り曲線)の安定性」を考慮すると「年間80兆円の国債買い入れをさらに拡大するのは、物理的に不可能でないが、簡単でない」と指摘。

さらに「マイナス金利の深掘りは、政策委員の中でもかなり強い抵抗がある。相対的にリスク性資産がやりやすい」と述べ、上場投資信託(ETF)の買い入れ増額などが選択しやすいとの見方を示した。

同時に「物価は数カ月でみれば振れるので、足元の数字に一喜一憂する必要はない」、「今はほぼ完全雇用。経済成長は目覚ましくないが、多少長い目でみれば物価の基調は徐々に強くなる」とし、追加の金融緩和にやや慎重な姿勢も示した。

<物価2%目標柔軟化も>

為替介入については「過度の為替変動は、実体経済に好ましくない影響を与えることはG7・G20で共有されている」と述べ、「必要、との判断が簡単でないかもしれないが、介入は可能」と指摘。米国の強いけん制があり為替介入は難しいとの見方に反論した。同時に「為替介入の基準を事前に示すことはできない」とも述べた。

日銀は2017年度に2%の物価目標を達成できると示しているが「必ずしも多くの人がその確率を高いと考えているわけでない」と言明。

2013年に黒田日銀が当初掲げた「2年での目標達成ができず、長期化してしまった以上、市場の見方を共有し、建設的な政策の枠組みにしたほうがよい」と、政策枠組みの柔軟化を提唱した。

<ヘリコプターマネー、「不安あおり効果少ない可能性」>

財政を金融政策で支え続ける「ヘリコプターマネー」の一環として、日銀による永久債買い入れを取り上げ「出口局面で日銀が金利ゼロの永久債を保有しつつ利上げを進めれば、日銀は逆ザヤとなり政府に納める納付金が減少。結果的に政府の債務は増える」と、問題点を指摘した。

また、メディアなどが「ヘリコプターマネーは邪道などと書く可能性が大きく、人々が不安になる。民主主義社会、ネット社会では、多くの人の納得を得られず疑問符がつく政策は効果が少ない」と述べた。

英国のアデア・ターナー・元金融サービス機構(FSA)長官などが、物価目標達成まで財政を拡大するヘリコプターマネー政策を提唱しているが「この場合は、物価は中央銀行の管轄との枠組みそのものを見直す必要がある。一方、財政で物価を上げられるかどうかも不確実だ」との見方を示した。

<黒田日銀の成果、「日銀がすべて悪いとの議論消滅」>

黒田日銀による「量的・質的緩和」の成果として、「1)経済が完全雇用に近くなりデフレ的状況ではなくなった、2)日銀が本気で物価目標に取り組む姿勢を見せたことで、政府も本気で成長戦略に取り組む姿勢を見せた、3)日銀がすべて悪いとの議論がなくなり、経済政策をめぐり、構造改革が大事などバランスのよい議論ができるようになった」と述べた。

*本文中の脱字を修正し再送します。

竹本能文 木原麗花 編集:田巻一彦

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