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株式市場の円高アレルギー確認、日銀短観の想定レート円安で

 [東京 1日 ロイター] 円高による企業業績への圧迫懸念が、9月日銀短観の発表を契機に急速に広がっている。日経平均は1万円の大台を割り込み、長期金利は1.3%以下の水準で推移している。

 10月1日、円高による企業業績への圧迫懸念が9月日銀短観の発表を契機に急速に広がっている。写真は2007年12月、東京証券取引所で(2009年 ロイター/Issei Kato)

 週末の米雇用統計発表や7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を前に外為市場は様子見ムードが強まっているが、株式市場の円高アレルギーをあらためて確認する場面となっている。

 <日銀短観で円安の想定レート、業績下方修正の可能性も>

 株式市場では日経平均が反落し1万円の大台を割り込んでいる。前日の米国株安や円高警戒感などから売りが先行した。寄り付き前に発表された9月日銀短観は大企業製造業・業況判断DIがマイナス33と事前予想通りだったが、想定為替レートが下期はドル/円が94.08円と実勢レートに比べて円安方向となっていることが懸念された。「(足元の)89円後半の水準が続けば企業業績は下方修正含みとなり、日経平均の下値は9000円程度を予想しなければならない」(日興コーディアル証券のシニアストラテジストの河田剛氏)と慎重な声も出ている。

 大和総研・シニアストラテジストの土屋貴裕氏は「海外勢の買い戻しが一巡し、買い手不在の状況になっている」とみている。「世界的にみても、落とし過ぎた株式のポジション修復は終盤に入っている。先行きの成長性などからみて日本株をアジアの中でオーバーウエートにする理由もないだろう」と指摘。その上で「日本について言えば、今は政策的な空白期間に入っている。民主党政権は現状分析を行っている最中であり、法制化を伴うような決定を行えない。来年度予算が策定されるまでポジションは傾けにくいところだ」と指摘している。

 また、米経済の先行きに懸念を示す声も出始めた。インベストラスト代表の福永博之氏は「シカゴ購買部景気指数(PMI)が予想外に悪化したことを受け、30日の米株式市場が続落したように、先行指標にはやや陰りがみられる。年末のクリスマス商戦が意識され始める時期だが、市場で期待感と警戒感のどちらが優勢となるかが鍵となるだろう」とみている。

 <投資家の期末持ち高調整もドル売り圧力>

 為替市場のドルは一進一退。日本勢の中間期末、海外勢の四半期末にあたる30日は一時的なフローで値動きに波乱が起こる可能性もあると警戒感が強まっていたが、ユーロ/ドルは1.46ドル台、ドル/円89円台のもみあいと主要通貨に目立った値動きはなかった。市場の関心は下期入り・新四半期入り後の実需・投資家動向に移っている。

 主要通貨に大きな変動がない中でも、資源高などによる景気下支えで利上げ期待が高まっている豪ドルは対米ドルで、海外市場で0.88ドル台へ上昇して1年1カ月ぶり高値を更新。この日アジア時間の取引でも、小幅ながら上値を伸ばした。期末日はグローバル投資家がポートフォリオの持ち高調整に伴う売買を活発化させるため、前日海外の豪ドル上昇/米ドル下落も、一部投資家が米ドルから豪ドルへ資金をシフトさせたのではないかとの見方が出ている。

 ただ、そうした持ち高調整は「株価など各金融商品の時価総額やリスク量などから算出する機械的な調整。米株のパフォーマンスが他国に比べて高かったためドル資産の比率が高まり過ぎ、それを落とした可能性もある」(外銀)として、ドル全般安地合いに変化はないものの、大きくドルが崩れる直接的な要因にはならないとの声があった。

 <スイスフランの介入効果減退か、ドルの重さ再確認との見方>

 前日海外の取引ではスイスフランが急落。日本時間午後9時過ぎから1時間程度の間にユーロ/スイスフランが1.50スイスフラン後半から1.52スイスフラン半ばへ160ポイント程度、ドル/スイスフランも1.02スイスフラン後半から1.04スイスフラン半ばへ160ポイント程度大きく上昇した。

 市場では、スイス国立銀行(中央銀行)がスイスフランの押し下げ介入を実施したとの声が複数出ている。スイス中銀のNicolas Haymoz報道官は30日、「それについてはコメントすることがない」と介入観測に発言を控えたが、これまでにも中銀は特に対ユーロでのスイスフラン上昇に強い懸念を示し続けており、市場では介入が実施された可能性が濃厚との見方が大勢だ。

 しかし、ドル/スイスフランは海外時間終盤にかけて1.03スイスフラン半ばへじりじりと反落。急伸した際の上げ幅の半分程度下落したことで、市場では「最初は驚きだった介入も効果が次第に低下してきたようだ。やはり、ドル安が進む中でスイスフランだけを止めるのは無理な話。ドル全般の上値が重いことも再確認できた」(別の外銀)とする声が出ている。

 <イールドカーブ、2─10年でややフラット化>

 円債市場では、金融政策の影響を受けやすい中短期ゾーンの債券需給が緩む一方で、長期ゾーンの流通利回りが小幅に低下し、2年ゾーンから10年ゾーンにかけたイールドカーブが、ややフラットニングする形状となった。年金基金や一部海外ファンドからの買いも観測されたが、年度下期入り直後で銀行勢が利益確定売りに踏み切るのではないかとの思惑もあり、総じて上値は重かった。

 市場には「相場全体が下がると益出しができなくなるため、銀行勢は、中期債を売りながら軟調な銘柄を物色する入れ替えのオペレーションにとどめているのではないか」(外資系金融機関の債券ディーラー)との見方もあった。

 短観に関連して「景気が本格回復するにはまだ時間がかかりそう」(ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏)、「円高による景気下振れ・デフレ圧力の増大をリマインドさせるきっかけになり得る」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)などの声が出ていた。 

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

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