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ロイター・コラム:「過積載」のJAL、最善の選択肢は経営破たん

 アレクサンダー・スミス、ロイター・コラムニスト

 11月25日、経営不振のJALにとって最善の選択肢は経営破たんか。写真は羽田空港を飛び脱JAL機。10月撮影(2009年 ロイター/Issei Kato)

 [ロンドン 25日 ロイター] 日本航空(JAL)9205.Tには新たな「航路」が必要だ。年金債務の圧縮や銀行による巨額の債権放棄が実現しなければ、また膨れ上がったコスト構造を見直さない限り、収益改善の見込みはない。年金受給者とのギリギリの協議も問題を解決することにはならないだろう。JALは経営破たんを選ぶべきだ。

 JALの問題は新しいものではない。過去5年のうち最終赤字を計上したのは3回で、2009年4─9月期の連結最終損益は1312億円の赤字と過去最悪の上期決算となった。

 株価は下がり続けている。JALの株式時価総額は今年に入って半分以上が吹き飛んだ格好だ。投資家は政府主導の経営再建計画を待っていられず、JAL株を手放している。

 JALがまだ飛ぶことができているのは、日本政策投資銀行からの1000億円の融資枠を確保しているからに過ぎない。企業再生支援機構による支援が決定するまでJALを延命させる当面のつなぎ融資だ。機構を活用した再生が決定するまでには1カ月から3カ月かかる可能性がある。

 JALの経営再建にとって最大のハードルは企業年金債務の圧縮だ。西松遥社長は年金給付額について、現役社員5割減・OB3割減とし、全体で4割の大幅削減方針を提案した。同意が取られない場合は「法的整理も含め存続が問われる」として、受給者に減額への理解を求めている。

 一方、OB9000人と現役社員1万7000人から反対の声が挙がるのは避けられないとみられ、鳩山由紀夫首相が率いる民主党政権は、特別立法による強制的な給付水準引き下げも検討している。

 だが、仮に特別立法による年金給付削減ができたとしても、JALが抱える問題の解決には、さらに踏む込んだ抜本的なアクションが求められる。機材と路線の集約・削除で高コスト体質を改め、死に物狂いで経営をスリム化する必要がある。

 JALはコスト削減に努めてはいるが、航空業界史上で最も厳しいとも言える今の環境を乗り越えるのに十分とは言えない。  

 JALが持つ魅力的なアジア路線網をめぐっては、「ワンワールド」陣営のアメリカン航空AMR.Nと「スカイチーム」陣営のデルタ航空DAL.N、大手投資ファンドTPG[TPG.UL]が獲得に火花を散らせているが、年金債務などの重い負担から開放されない限り、それも再び「離陸」することはできないだろう。

 株価の下落ペースを考えると、投資家は時間のかかる政府主導の経営再建を待たないのが正しい選択のようだ。

 *この記事の内容は筆者の個人的見解に基づいています。また、この記事が送信された時点で、筆者は記事で言及されている証券に直接投資はしていませんが、ファンドを通じて間接投資している可能性はあります。

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