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米グーグルの携帯電話機参入、既存メーカーには吉か凶か

 [サンフランシスコ 15日 ロイター] 独自の携帯電話端末を来年にも発売するとされる米グーグルGOOG.Oだが、同社の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載する端末メーカーと正面からぶつかることになれば、長期的な戦略であるモバイルインターネット分野への事業拡大が悪影響を受けるかもしれない。

 12月15日、米グーグルの携帯電話機参入に真意を計りかねる声。写真はカリフォルニア州マウンテンビューの同社本社。2004年8月撮影(2009年 ロイター/Clay McLachlan)

 グーグルにとって最終的な成功とは、あらゆる種類の携帯端末で同社の検索エンジンやサービスが使われることであり、携帯電話機メーカーとの競合になれば、その「ゴール」が阻害されることにもなるとの声がアナリストからは聞かれる。

 複数の関係筋は先に、来年1月にもグーグルの携帯電話端末が、ウェブサイト経由でユーザーに直接販売される可能性があると述べた。しかし、端末事業への参入は数十億ドルを無駄にすることにもなりかねず、それよりもむしろ、できるだけ多くの端末にアンドロイドを搭載させることに注力すべきとの声は少なくない。

 今のところ詳細な情報は明らかになっておらず、アナリストらは競争の激しい携帯電話機事業に参入するグーグルの真意を計りかねている状態だ。一部には、アンドロイド普及を狙い、スマートフォン市場での米アップルAAPL.Oの牙城に揺さぶりをかけようとしているとの見方もある。

 アンドロイド搭載のスマートフォンは今年に入って数機種が発表されたが、どれもアップルの「iPhone(アイフォーン)」に売り上げと評判で遅れを取っている。独自端末発売に踏み込むことで、グーグルはこの問題を解消できるのかもしれない。

 ただ、アップルがもともとハードのデザインを得意としていたのとは対照的に、グーグルの得意分野であるウェブベースのソフトは、それが必ずしも家電製品での「優れた能力」を意味するとは限らないのも事実だ。

 一方、アンドロイドのようなスマートフォン向けOSは、広告をベースとするグーグルのウェブサービスを新しいタイプの携帯端末上で際立たせるとともに、ユーザーの位置情報などターゲット広告にとって貴重なデータをグーグルにもたらす可能性がある。

 グーグルは取りあえず、アンドロイドを複数の携帯電話機メーカーに採用させることには成功した。現時点でアンドロイドを搭載しているのは、米モトローラMOT.Nや韓国サムスン電子00590.KSなどの12機種を超え、ソニー・エリクソンや韓国LG電子066570.KSのほか、台湾の宏碁電脳( エイサー)2353.TWも「アンドロイド端末」を投入する予定。

 しかし、事情に詳しい関係筋はロイターに対し、こうしたアンドロイド採用の横展開は、グーグルが独自端末をユーザー向けに直販することによって削がれる可能性があると述べた。

 また、あるアナリストは「携帯電話の最も重要な部分が競合相手から提供されるとなると、それは具合が良くない。どんな業界であってもそうだ」と指摘している。

 ただ、携帯電話事業で不振にあえぎ、新たにアンドロイド搭載端末をラインナップに加えたモトローラには、多くの選択肢は残されていないとの声がアナリストからは聞こえる。モトローラのコメントは得られていない。

 一方、携帯電話キャリア業界を見ると、少なくとも1社は、グーグルの携帯電話機戦略に参画したようだ。関係筋によれば、ドイツテレコムDTEGn.DE傘下のTモバイルUSAは、グーグル携帯向けに通信サービスを提供し、米国内で展開する計画だという。

 グーグルの携帯電話機参入で浮かぶ別の疑問は、ネット企業である同社がどうやってハードウエア市場で戦っていくのかという点だ。グーグルの高い利益率とは対照的に、ハードメーカーの利幅は概して薄く、供給過剰や在庫不足の問題も付きまとう。

 CCSインサイトのアナリスト、ジョン・ジャクソン氏は「グーグルには、慢性的に利益率の低いハードウェアビジネスに進出することで数十億ドル規模の過ちを犯すリスクがある」と指摘。ハードビジネスで経験のないグーグルには、デザインひとつとっても競争を勝ち抜くのは難しい側面があるという。

 同氏は、グーグルが携帯電話機で市場シェアを獲得するには、無料の機器やサービスを提供するなどのアプローチが必要だとしている。

 また、ゴールドマン・サックスのアナリスト、ジェームズ・ミッチェル氏は、15日に出した投資家向けリポートで、スマートフォンユーザーからの潜在的広告収入によって、グーグルが端末価格を最大50─100ドル値引きできると予想。ただそれでもなお、グーグル携帯の米国内販売価格は、これまで通り携帯キャリアを通じて販売されるほかの端末よりも割高になるとの見方を示した。

 一方、グーグルの真の狙いについて、シグナル・ヒル・グループのアナリスト、トッド・グリーンウォルド氏は、携帯電話機ビジネスで利益を上げることよりも、既存端末メーカーにスマートフォンのあるべき方向性を示すことだと指摘している。

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