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米公定歩合引き上げは日本株に好材料、内需不振で円安期待

 2月19日、米公定歩合引き上げについて、市場では日本株にポジティブと受け止めている。写真は都内の株価ボード。2008年11月撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 19日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)の公定歩合引き上げについて、市場では日本株にポジティブと受け止めている。今年夏以降に米「出口戦略」を受けたドル高/円安で主力輸出株が相場をけん引するとの期待感が出ているためだ。

 日本株は年度末に向け、国内勢の持ち合い解消売りなどで上値の重い展開が予想されるが、年末にはリーマン・ショック前の日経平均株価1万2000円回復が現実的になってきたとの指摘もある。

 FRBは、金融市場の状況改善に向け、19日から公定歩合を現行の0.50%から0.7 5%に引き上げると発表した。バーナンキ議長は10日の米議会下院金融委員会での証言原稿で、これまで導入した数々の緊急融資対策を危機前の通常の状態に戻し、ディスカウント・レートと、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートとの差について「若干拡大させる」ことをFRBは「近いうちに」検討する見込みとしていた。みずほ総研シニアエコノミストの武内浩二氏は「正常化の流れの1つであり驚きはない」と述べた。

 バークレイズキャピタル証券のチーフ外債ストラテジスト、高橋祥夫氏は、今後FRBの金融政策を考える上では、24、25日に予定されるバーナンキ議長の半期に1度の議会証言が最大の焦点と指摘。同社は、利上げを開始する前にマネーマーケットの機能をある程度まで回復させるために資金吸収を十分に行う必要があることや雇用情勢の底打ち時期などを考慮し、利上げの開始時は9月となる可能性が高いと予想する。

 公定歩合引き上げを受けた東京市場は、ドル高/円安を背景にいったんは株買いに動いたが、全般的には様子見ムードとなり、前日終値付近でのもみあいが続いた。国内証券の株式トレーダーは「実際の金融引き締めでもないのに、過剰反応ではないか」と話していた。また、邦銀系のトレーダーは「金利正常化という不透明要因が強まったほか、ユーロ安/ドル高/金利上昇、つまり悪い円安であって素直に喜べない」とし、戻り売りに傾いた。

 ただ、中長期でみれば、米公定歩合の引き上げは日本株にとっては好材料という。昨年1年間の出遅れ修正のほか、国内企業の好決算などを受け、国内株式市場は年後半は堅調とみられているなか、円安で国内輸出企業の収益改善が期待されるためだ。邦銀系の株式トレーダーは、9月に発足した鳩山政権から、子ども手当など内需回復に向けた政策が打ち出されたことで、関連株が相場を押し上げると予想していたが、「政権発足からきょうまでの政権運営で、内需では無理だということがわかった」としたうえで「日本株はやはり円安で主力輸出株がけん引する相場」とみている。

 昨年11月に円高が大きく進み、ドル/円が84円台に進行したことで、国内の輸出企業は下期の想定レートを一段の円高にしている。円安に振れれば収益上方修正で株価は上昇しやすい。同トレーダーは、年末の日経平均株価はリーマン・ショック前の1万2000円付近に回復すると予想する。

 一方、菅直人財務相は16日の衆院予算委員会で、政府と日銀が目指すべき物価水準の目標について、1%程度という認識で一致していると語った。これについて、みずほ総研の武内氏は「日銀が打ち出した中期的物価安定の理解に対し、政府も齟齬(そご)はないと応えた形だ。デフレ脱却に向け、日銀に対して追加緩和策を求めたと受け取れる」と指摘。日本は米国とは対照的に「出口」が遠のいていることからも「日本株は円安に反応しやすい」との見方を示す。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)

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