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公示地価の下げ幅拡大は不動産株に冷水、本格回復はかなり先の声

 水野 文也記者

 3月18日、公示地価の下げ幅拡大は不動産株に冷水をかける格好となった。本格的な相場回復には時間を要するとの見通しが広がっている。写真は都内ビジネス街のビル、2008年撮影(2010年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 [東京 18日 ロイター] 公示地価が下げ幅を拡大しつつ2年連続でマイナスとなり、戻り歩調の不動産株に冷水をかける格好となった。

 国内金融政策は低金利継続の方向が鮮明となり追い風だが、急速に不動産市況改善が期待できず、さらに景気に対して遅行性があることから、関連銘柄の本格的な相場回復には時間を要するとの見通しが広がっている。

 2010年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比マイナス4.6%と2年連続で下落。マイナス幅は09年の3.5%から拡大した。全国で調査した地点の99.6%で下落、とりわけ07年と08年には全国平均の地価をリードし、不動産業界の収益を押し上げ要因となった3大都市圏の下落が著しい。国土交通省によると、地価の下落幅は昨年上期よりも下期に縮小しているが、下げ止まったとは判断できない状況という。

 株式市場では「オフィスの空室率悪化など、これまで悪い指標が目立っていただけに、サプライズ感はない。株価全体を崩す要因にはならないのではないか」(東洋証券・ストラテジストの檜和田浩昭氏)との見方が出ていた。しかし、不動産株や銀行株など関連銘柄の多くは、このところ戻り歩調をたどっていたために影響が懸念されている。

 東証業種別指数で不動産は、4日の安値752.35ポイントを起点に17日高値843.34ポイントまで上昇。この日は利益確定売りに押されていたものの「マンション販売上向きのニュースがあったほか、日銀の追加緩和策に対する期待感も手伝って買われていた。その分の反動が生じる可能性もある」(大和証券キャピタルマーケッツ・投資戦略部の西村由美氏)という。

 不動産株について直近の買い材料となったのは、15日に民間の不動産経済研究所が発表したマンション市場動向。2月の首都圏マンション発売戸数は2777戸、前年比10.7%増となり3カ月ぶりにプラス、マンション契約率は70.7%で、順調に在庫圧縮が進展していると読み取れる内容だった。しかし、ある国内系証券・不動産担当アナリストは「供給サイドが値下げした結果。売上高は回復しても利益は計上できないため、評価できる指標とは言えない。地価が下げ止まらない以上に、不動産全体の需給改善が見込めないことが問題だ」とコメントしていた。

 野村証券・不動産担当アナリストの福島大輔氏はリポートで、問題点として貸し手と借り手のミスマッチを指摘する。福島氏によると、市場で魅力的な不動産が売りに出ておらず積極的に買う状態になく借入金を圧縮する一方、簿価の高い不動産会社・ファンドはバランスシート調整が終了しておらず資金調達ができないという。そのため、市場に恩恵を及ぼすとの見方もある追加的な金融緩和策が、大手不動産会社のファンダメンタルズに大きな影響を及ぼさないとしている。

 ただ「一時はオフィスビルで解約が入居を大幅に上回る状態だったが、足元では入居が上回るようになっている。景気に対して遅行性があるため、先行き徐々に不動産の状況は改善しそうだ」(大手不動産関係者)との声や「スケールは小さいながら、不動産ファンドを組成する動きもポツポツと出始めた。楽観はできないながら、このまま下げ幅を広げるような様子でもない」(SMBCフレンド証券・不動産担当アナリストの馬場正夫氏)といった見方もある。2011年3月期には企業業績全体の上向きが見込まれているため、遅行性を踏まえれば徐々に需給の改善も期待できるようになり「ここからは市況底打ちのタイミングを待つ場面になる」(馬場氏)という。

 それでも「2─3年前にピークを打った時もそうだったが、不動産が活況になるのは株価が大幅に上昇するなど資産バブルの様相を呈した時。低金利継続は確認されながらも、こうした状態にない現在、急速に不動産業界が上向くとは思えない」(東洋証券の檜和田氏)との声もあり、今回の公示地価下落によって不動産株が悪材料出尽くしから本格的な相場回復に向かうといったムードは市場で感じられない。

 市場では「少子高齢化などで成長が期待できない国の不動産価格が、大幅に上向くのは難しそうだ。過去には資金を振り向けた海外勢も、現状では日本の不動産を注目するとも思えず、構造的に市況が上がりにくいと言えるのではないか」(UBS証券・チーフストラテジストの道家映二氏)と厳しい指摘もあった。

 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

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