for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

米金融規制が円高材料の見方浮上、投機筋などの円資産買い誘発も

 [東京 14日 ロイター] このところドル/円が87─88円の水準で推移し、急速な円高進行は陰をひそめているものの、米景気減速懸念が広がる中で、米国の金融規制強化の動向も円高材料として意識されつつある。

 7月14日、急速な円高進行はこのところ陰をひそめているものの、米景気減速懸念が広がる中で、米国の金融規制強化の動向も円高材料として意識されつつあることが明らかに。写真は2009年11月、東京で(2010年 ロイターYuriko Nakao)

 為替スワップの取り扱いが日本よりも厳しい内容となることで、投機筋のドル離れや、中国などによるドル資産購入の抑制が円高要因になるとの指摘が市場関係者の一部から出ている。

 米上下両院協議会が6月25日に一本化で合意し、今週15日にも上院で採決される見通しとなった金融規制改革法案では、焦点となっていた商業銀行によるスワップ取引の全面禁止案が修正され、通貨や金利など銀行の本業におけるリスク回避関連の取引を認可する内容となったことで、規制色がやや後退したと受け止められている。

 しかし、店頭取引(OTC)のデリバティブ(金融派生商品)の大半は、原則として価格が透明な取引所や清算機関を通じて決済する方式に変わる。その場合、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループなどの清算機関を通して、取引証拠金や追加証拠金などの担保を提供しなければならなくなる。

 ただ、店頭デリバティブの中でも為替スワップは実需による取引が多い。米金融機関や財務省は、為替スワップに関し、金融危機を助長したとされるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などと同様に規制するのは不適切とし、規制対象から外すよう主張。改革法案の審議過程では、為替スワップが一時規制対象から除外される文言も法案に盛り込まれた。

 だが、監督対象を拡充したい米商品先物委員会(CFTC)などの意向を背景に最終案で例外規定は削除され、代わりに為替スワップを規制から外すには、財務省とCFTC双方の同意が必要となり、規制から除外された場合も取引データの報告義務は必要といった条項が盛り込まれた。

 米法律事務所や邦銀などによると、邦銀による米銀との取引も規制対象となるほか、米国外での米ドル関連為替スワップについてもCFTCが監視する意向を示しているとされ、規制の対象範囲について現時点では明確でない点もある。 

 国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は6月29日、金融規制改革法が成立すると、デリバティブ取引を手掛ける米企業が、担保提供のため最大1兆ドルの資金を確保する必要があるとの試算を公表している。

 その中で、一部市場関係者は、今回の米金融規制改革法案の新たな規制により、手口の透明化を嫌がる投機筋のドル離れが起こる可能性を指摘している。一時はドルから引き揚げる投機資金の受け皿として、ユーロが想定されていたが、ギリシャ問題によるユーロの不安定性や、欧州当局による規制強化の動きから、日本円が相対的に規制の少ない通貨として買われる可能性が浮上しつつあるという。「米規制を嫌う中国が、米ドル資産を日本国債など円資産にシフトさせる可能性もある」(為替市場関係者)という見方もジワジワと広がっている。実際、財務省のデータによると、中国は2010年の1─5月に1兆2762億円の日本国債を買い越しており、年間の買い越し額が過去最高だった05年の2538億円の5倍以上の水準に膨らんでいる。

 OTCデリバティブに対する規制強化は世界的な流れで、日本でも金融商品取引法の改正で一部の金利スワップやCDSの取引は清算機関の利用を義務付けられる方向だが、為替スワップ取引の清算機関集中化について取り扱いを決めていない状況だ。

 (ロイターニュース 竹本能文記者;編集 田巻 一彦)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up